しっとう?岩田亜矢那

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意味がわかると怖い話2981 「相棒」

2020年02月01日 08時39分28秒 | 意味がわかると怖いコピペ
俺は今、巷で話題になっている連続殺人鬼だ。

すでに両の手で数えられないほどの人間を殺した。

にも拘らず、警察は未だに俺の尻尾を掴めていない。

警察が能無しというわけではない。

俺の相棒が優秀過ぎるのだ。

なぜなら、俺の相棒は亡霊なのだ。

それも超の付く凶悪殺人犯の。

ロケーションの下見、証拠隠蔽、凶器の補充、その他諸々の作業を代行してくれる。

相棒と出会ったのは、確か俺が二人目の犠牲者を出した時だ。

血に染まり快楽に溺れていた俺の前に突然現れ、

『こんなやり方じゃ、すぐにバレて捕まるぞ。今日から俺がお前をバックアップしてやる』

と顎に手を当てながら言われたんだっけか。

それ以来、相棒とは常に一緒に行動し、殺しのノウハウ等も教わったのだ。

先に述べたように、相棒は名高い殺人犯で、尋常じゃないくらいの被害者を出している。

俺の目標は、相棒の殺害数に並び、追い越し、相棒より有名になることだ。



今日は満月か。

おかげで、暗い夜道でも見通しが良く、被害者の血飛沫も鮮明に見られる。

そんなことを思いながらメッタ刺しにしていると、相棒が顎に手を当てながら言った。

『なぁ相棒、前から思ってたんだが……』

「なんだい?」

『お前の殺し方、なんか美学に欠けるんだよな』

「美学ぅ?殺しに美学なんて必要かぁ?」

俺は笑いながら相棒の肩に触れ……られないんだったな。

『何事にも美学は大事だぞ。俺の美学は死体を丁寧にバラすことだな』

「それ美学って言うのかよ」

そんな談笑をしていると、遠くからパトカーのサイレンが近付いてきた。

『この死体は俺が片付けとくから、早く逃げな』

「おう、いつも悪いな相棒」

そう言って、俺はその場から駆け去ろうとした。

『あ、バカ!』

十字路に飛び出した俺の身体に、車のヘッドライトが当たった。

反射的に目線を向けると、速度違反した大型トラックが。

あ……やっべ……



ドンッ



衝突の直前、俺は相棒に突き飛ばされた。





事故から3週間が経った。

死には至らなかったが大怪我を負った俺は、ようやく完治して今日が退院の日だ。

あの日以来、相棒を見ることはなくなった。

俺の恩人だというのに、別れの言葉も無しなんて薄情な奴だ。

まぁそれは置いといてだ。

次に殺す人間は、どんなふうにバラそうかな。

顎に手を当てながら、俺は考え始めた。





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