意味がわかると怖い話３０５３ 「赤い自転車」

仕事のストレスを発散するために、
週末は必ず自慢のバイクでツーリングに出かけている。

もちろん今日も例外ではない。
峠を抜けて海岸沿いを走り抜けるいつものルート。

家を出て15分ほど走った頃だろうか。
バイクの調子が悪いようでエンジンから異音がしている。
愛車を気遣い少し速度を落として坂を登って行ったが、
頂上目前というところで完全に動かなくなってしまった。

すぐにロードサービスに電話をしようとしたが、
携帯電話の電源が入らない。電池切れのようだ。

ツイてない。

普段からほとんど人通りがなく、地元の人でさえ近寄らないこの道。
歩いて戻るにも結構な距離がある。

辺りを見渡してみると舗装されていない道路脇の林の中に一台の自転車を見つけた。
競技用の自転車だろうか。真っ赤な車体に、文字は潰れてよく見えないが
「〇○競輪」のステッカーが貼られていた。

暫く放置されていた形跡もあるし、少しぐらい借りても問題無いだろう。
どちらにしろ一度家に戻った後にバイクの回収に行かなければいけない。

自転車を起こして少し押してみたが、どこも故障している様子は無い。
まだ全然使えそうだ。

少し高めのサドルにまたがり、俺は家路に向かい力強くペダルを踏み込んだ。 

にほんブログ村