旅行中、ふらっと立ち寄った公園で、大きな池を見つけた。午後の穏やかな時間の流れが、唐突に終わりを告げる。私は心の思うがままに、その池へと歩いていき、池の様子を覗き込んだ。
何匹か魚がいるようで、午後の明るい日差しを受け、背びれがキラリと光っている。だが、私が来て影ができたことにより、背びれの光が飲み込まれてしまった。魚独特の生臭い匂いが口から鼻へと伝わる。
どうやら、私の心は満足したようだ。再び穏やかな時間の流れが訪れた。私の影に驚いて逃げたのか、それともいなくなった仲間を探しに行ったのか、もう池に魚の姿は見えない。
私が池から離れると、今度はベンチの上で寄り添っている男女を見つけた。また唐突な終わりを告げ、心の思うがままに、その男女の元へと足を進めた。私の影が、男女に覆いかぶさった。