【改題】ひとり公論(IT公論)

アラフィフとなりIT土方卒業したのでタイトル変更しました
こちらはどちらかといえば再録中心

「何かの役に立つか立たないか、そういうことは考えてはダメなんだよ」

2020-05-31 20:21:44 | ひとり公論
(子供の頃から理科の実験が大好きで、物質の起源やその法則を解き明かすことを夢見ていた杉岡さん。東京工業大学の大学院に進み、原子核物理学(原子核の構造と性質に関する核反応、放射能などを研究)を専攻します。杉岡さんは、素粒子や放射線についての研究に没頭。より専門的な知識を得たいと、最先端を行くアメリカの研究所に留学しました。)
杉岡誠順:  原子核物理というか、物理の最先端の部分を素粒子物理と言いますが、理論と実験が両方とも見れる分野が原子核物理だったので、それを選んだというところですかね。私が大学三年生の時に、祖父が往生して、本来であればすぐ大学四年生が終われば、すぐにでもお寺を継ぐべきだったところを、祖父の遺言といいますか、「自分の学ぶべきものを学んでこい」というその言葉に甘えて、大学院に進学したわけですね。でも何のためにこれをやってるんだろうという疑問がどうしても出てくるんですね。それでやってることが、何か世の中の人のためになるんだろうかっていう、ずっとやっぱり自問自答があって。アメリカの方にいた日本人の研究者の方にそういうことを聞いても、「いや基礎物理というのは、単なる単純に知的好奇心で求める学問であって、その結果として何かの役に立つか立たないか、そういうことは考えてはダメなんだよと。物理というのは、そもそもキリスト教世界の中の神がつくりたもうた世界を知るという、人間の使命そのものを果たすのが物理の世界の学問の考え方だから、そのことに疑問を挟む余地はないんだよ」と言われた時に、ちょっと仏教徒たる自分としては、あっ全然違うとこに来たんだなと。違うところで何かやってたんだなというのを、ちょっとショックを受けたっていうのはありますね。