【my格言】
-大学に行く若いヤツらには、「ものづくり」しかできないバカにはなってほしくない。(20090928)
(格言と本文とはほぼ、関係ありません)
おつかれさまです、龍澤です。
昨今のITコスト削減の影響とか、そういったマジメなことについて、某有名外資系コンサルA社の中堅?の方々と話す機会があり、意見を交換しました。
僕は、カネを減らされることによる、レイヤの低いところに従事している人間のモチベーションの低下と、ギョーカイ全体の品質の低下を危惧している、みたいなことを中心に話したのだが、A社の方々にはまさに「のれんに腕押し」。。薄いリアクションだった。
僕としては、めったにないマジメな議論の場に参加する機会を与えていただき、ちょっとうわずってしまったのか。。多分に自分にも責があるのだろうなと思いつつも、その議論があまりに空回りで、不毛に終わってしまったので非常に消化不良であった。
そして家に帰って、いろいろ考えた。。(独り反省会!)
なぜ意見がまったくかみ合わないのか、を僕なりに分析してみると、
まず、先方は、「モチベーションなんて甘ったれたこといってんじゃねーよ」という強固な見解を持っているわけね。
もうひとつは、なぜ僕が、そういうレイヤの低いヒトたちの「肩を持つ」のかがわからない、と。
などといろいろ考えてゆくと、さすが! 某有名外資系「ぼったくり」コンサル企業ですなあ! と拍手喝采したくなったよ。(もちろん、ヒニクの意味で)
ホントに、まったくもって、レイヤの低いところに従事している人間のキモチがわからないんだなあ、と。。
それはもう、清々しいぐらいに。
いともカンタンに、「モチベーションなんて甘ったれたこといってんじゃねーよ」と、いえる。
もう10年ぐらい前だけど、リ●●ートのヒトと会話する機会があり。。(リ●●ートの関連会社? のシステムの構築に携わったので)
そのときのことを思い出した。
「選ばれた」リ●●ートの社員さんたちは、仕事は自分で見つけるもの、オレはいつでも会社をやめて起業できる(その頃「起業」というコトバがあったかどうかは微妙だが。。)、受け身で仕事してるヤツはバカだ、と。。
あの、妙な「清々しさ」と、そのとき感じたどうしようもない違和感。
仕事を発注する側の人間の傲慢さ。(その仕事を「受け身」で受注し、仕上げて納品してくれる人間のことを思い至ることができない)
昨今のハケンだのフリーターだのニートだの、そういう議論と通底しているなあ、とつくづく思う。
僕は、実はニートだのそういうヒトたちに対しては、「甘ったれてんじゃねーよ」派なんだよね。
でも、たとえば24hオペレータとか、ポンコツシステムの運用に従事していて夜間休日関係なく障害で呼ばれる運用エンジニアとか、僕と同じ最底辺層で頑張っているヒトたちに対して「モチベーションなんて甘ったれたこといってんじゃ。。」なんて、口が裂けてもいえない。
「某有名外資系『ぼったくり』コンサル企業」に勤め、華やかな、そして上っ面だけのコンサルティング業務を行っているヒトたちは、二重の意味で勝ち組なのだ。
まず、ビジネス・シーン全般においても勝ち組だし、このギョーカイにおいても「上流工程」に従事しているという意味での勝ち組。
ビジネス・シーンというのはゼッタイ的に平等ではないので、勝ち組であることを誇るのはいっこうに構わないんだけどね。。
だったらハンパな仕事しなさんなよ、と。
この国のこのギョーカイを変えてゆくぐらいの気概とプライドを持って仕事していただきたいんだよねェ。
ムカシ、別なところに書いたことがあるんだけど。。
才能、ひらめきが必要とされる仕事もあるし、こつこつと毎日同じことを行うことを要求される仕事もある。
もちろん、前者のほうが人気が高いし、自然、前者のほうが高学歴になってゆくわけだ。
別にそれはいい。それは認めるんだけどね、ここ5年ぐらいずっと思っているのは、才能やひらめき、いわゆる「クリエイティビティ」が必要とされる職場に、才能が集まっていないように感じるんだよね。
そして、才能のない人間ばかりが集まる。。「少数精鋭」の真逆状態となっている。
その仕事をしたい! という思いが強い人間ばかりが集まってきちゃうわけだ。熱意をアピールする人間ばかりが、熱意順に採用されてしまう。あるいは、もっとヒドいケースでは、アピールのうまい下手で採用が決まる。
もっとも重要な「才能」の有無が、問われないという不思議。才能の原石が感じられても、熱意がそれなりだと採用されない。
これが、間違ってんだよね。
才能っていうのは努力ではどうしようもないことがあるんだ。
このギョーカイにおいては、なぜ僕がいろいろ毒づきたくなるかというと、上流工程も下流工程も、才能は同じぐらい散らばってきているからだ。
そこに、功罪がある。
工程が上流であればあるほど、才能やひらめきが必要であり、下流であればあるほど、誠実さ、マジメさ、こつこつと物事を行える能力が必要である、という事実は当然のこととして認めている。
だから、できる限り適材適所であってほしいと願う。そうでないと、ギョーカイの全体最適がはかれないからだ。
ギョーカイ全体の品質や生産性を上げるためには適材適所が必須要件であり、ただ、カッコよさそうだからとかいう理由で、才能もないのに学歴だけで上流工程に従事する人間が増えるのも全体にとって不幸だし、才能があるんだけどはじきだされてしまって、不満を抱えながら下流の工程に従事してくすぶり続けるのも同じように不幸だ。
上流工程に、上流工程にふさわしくない人間が増え、下流工程に、下流にふさわしくない(といったら語弊があるかもしれないけど)人間が流れ込むと、ヒエラルキーが崩壊してゆく。
最上流、上流での提案、要件定義を下流の人間がはなっからバカにしてかかる。(実際、上流でのアウトプットの品質は、低いし。。)
こういう関係性の中では良いシステムなど生まれはしない。
いつものことだが脱線しまくりなので、最初のハナシに戻って。。
僕が「モチベーション」発言をした理由は、個人個人のモチベーションというよりは、下流工程全体のモチベーションの低下のことをいいたかったんだけどね。先方にはうまく伝わらなかったみたいで、モチベーションを言い訳にサボタージュを繰り返す下層労働従事者を、僕が擁護しているという図式が、その場では出来上がってしまっていたようだ。
ITコスト削減とかいっても結局しわ寄せを食うのは下流の工程の人間、そして下請けの会社だけだ。
上流の工程の人間、そして、元請けの会社はちょっとカユいぐらいでしょ。いくら危機感をあおったところで、自分と家族の生活はほぼ保証されてるからね。まったく説得力がない。
蚊にさされてカユくてムカつくから蚊を殺してしまいたい、ぐらいの歪んだモチベーションで上っ面の議論を交わしているわけなのだ。
生活が保証されている上流の人間が、下流に向って、「モチベーションの低下なんて甘ったれたこといってんじゃねーよ」と叫んだところで、反感を買って、寝込みを襲われて大量の蚊を放たれるだけだ。
しかも、上流も下流も同じぐらい才能が散らばっているわけだから。。
上流の人間はコトバに気をつけないと、ますます反感を買う。
(昨今の、この国の政治家と庶民の関係性みたいだな。。)
僕らにしてみれば、ITコスト削減というのは「生きるか、死ぬか」ぐらいの意味を持っている。「切実」なんてもんじゃない。
生活を保証してくれるんだったら、大量の蚊に刺されまくるぐらいいくらでも我慢します! ということなんだよ。僕らにしてみれば。
蚊に刺されてカユいからなんとかしたい、という議論のレベルじゃないんだ。意見があわないのはアタリマエなんだよね。