韓国の「働き方改革」、いきなりトラブル続出中!
日本と同様、最近韓国では「働き方改革」の風が吹いている。
韓国における働き方改革は、残業時間の短縮時間や最低賃金の引き上げ率が日本を大きく上回り、日本より速いスピードで改革が推進されているのが特徴。残業時間が減ることで業務への集中度が高まり、退社後にヨガやピラティスなどの「アフター5教室」に通う人々が増加したり、一部の大企業では雇用創出の効果も表れ始めている。
しかしながら、その急速な「働き方改革」の成果は決していいことばかりではない。
韓国中部に位置する世宗特別自治市と忠清南道地域の自動車労組は昨年10月1日に週52時間勤務制の実施により賃金が減少したとして、早急の対策を求めた。当自動車労組は賃金の減少分が補填されない限り、10月5日から総ストライキに突入すると発表。その後、労使の間で交渉が行われた。
結局、減少した賃金の一部が補填されることになり、幸いにストライキまでは至らなかったものの、全国各地で労働時間短縮による賃金減少の問題をめぐる労使間の葛藤は絶えずに起きている。
また、大幅に引き上げられた最低賃金の影響(AI技術の発達やスマートフォンの普及の影響もあるのだが)もあり、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアを中心に無人店舗が増加している。韓国の大型ディスカウントストアイーマート(Emart)が運営するコンビニエンスストア「eマート24」は昨年、年末まで無人店舗を現在の9店舗から30店舗まで拡大する方針を示した。
人件費に対する負担増加を労働投入量(労働者の数や労働者の労働時間)の縮小で緩和しようとする動きであり、このような動きが拡大されるとさらに労働市場が萎縮する恐れがある。
そもそも韓国政府が実施した働き方改革の代表的な政策は「週52時間勤務制」だ。韓国政府は、残業時間を含めた1週間の労働時間の上限を従来の68時間から52時間に制限する、つまり「週52時間勤務制」を柱とする改正勤労基準法(日本の労働基準法に当たる)を7月1日に施行したのだ。
「週52時間勤務制」は、今は従業員数300人以上の企業や国家機関・公共機関のみに適用されているものの、今後適用対象は段階的に拡大され、従業員数50人以上~300人未満の事業場は2020年1月から、また従業員数5人以上~50人未満の事業場は2021年7月から適用対象に含まれることになる。違反した事業主には2年以下の懲役あるいは2000万ウォン以下の罰金が科される(施行から半年間は罰則が猶予)。