鳥インフルエンザウイルスが人間界に適応して新型インフルエンザになるとき。その説明にはもっぱら「豚の絵」が使われてきました。ブタさんは鳥のウイルスにも人間のウイルスにも感染してしまうのですよ、そしてウイルスがブタさんの中で交雑して~とはかなり一般的に普及した知識です。
が、それだけではなく、鳥から人間界へダイレクトにジャンプしてくる(かもしれない)ぞ!とオランダの報告。
- 2003年オランダで流行した鳥インフルエンザH7N7で遺伝子調査。
- 03年の流行では、80名のヒト感染、1名の犠牲者を出した。
- このアウトブレイク中にヒトとトリから分離されたウイルス分析。
- ヒトおよびトリから分離されたH7N7ウイルスの遺伝子構造を分析(n=45、HA,NA,PB2)。
- 遺伝子バリエーションのうち約50%は、すでに鳥に見られるものであった。
- 哺乳類に結合能を有する2種はすでに農家から農家へと伝染していた。
- したがって、次なるパンデミックを起こすウイルスは、(ブタなどを介するとは限らず)直接トリの世界から人間界へ襲いかかってくるかもしれない。
- ヒト、トリ両面でサーベイランスが重要であると強調。
鳥インフルエンザウイルスが、鳥の中だけでヒト型に変異しつつある。以前から言われてはいましたが、実際に証拠を突き付けられてみると結構冷や汗な話ではあります。
H7N7といえば、2003年にオランダでヒト感染→死亡事例を出してかなりな騒動になりました。03年SARS流行がひと山去ったばかりでヤキが回っていた北京邦人社会で、この話はかなりのインパクトでした。一難去ってまた一難か・・・と気が重いなか、大使館で商工会(当時)の総経理みなさんに、(管理人のヘタクソなブタの絵入りプリントで)鳥インフルの説明をやっていたのを思い出します。
ソースはJ of Virology↓
http://jvi.asm.org/cgi/content/short/JVI.05369-11v1?rss=1
Comparative analysis of avian influenza virus diversity in poultry and humans during a highly pathogenic avian influenza A(H7N7) outbreak
Marcel Jonges1,2, Arnaud Bataille3,4, Remko Enserink1, Adam Meijer1, Ron A.M. Fouchier2, Arjan Stegeman3, Guus Koch4, and Marion Koopmans1,2
1 National Institute for Public Health and the Environment, Centre for Infectious Disease Control, Bilthoven, The Netherlands
2 Department of Virology, ErasmusMC, Rotterdam, The Netherlands
3 Department of Farm Animal Health, Faculty of Veterinary Medicine, Utrecht University, Utrecht, The Netherlands
4 Central Veterinary Institute, Wageningen University & Research Center, Lelystad, The Netherlands
Telephone: +31 30 274 8641; Fax: +31 30 274 4418; E-mail: marcel.jonges@rivm.nl <script type="text/javascript"></script>