新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

新型インフルエンザ罹患者の告白

2009-05-18 09:55:23 | インフルエンザ:海外の動き/海外発生

新型インフルエンザH1N1に感染した27歳青年が実名&顔出しで経験を赤裸々に語る・・ということがカナダで報道されています。

  • Santini Gale氏27歳男性。実名告白!マスコミも実名報道!!(顔を見たい方は下記リンクへ。イケメン)
  • 3週間前に胸苦しさ、咳をした時の痛みで発症。
  • 気管支炎の既往あり、当初、これの再発と思った。
  • 近所のクリニック受診し、抗生物質7日分処方された(注:当然インフルには無効)。
  • 10日経ち、症状悪化。5月4日、クリニック再診。
  • 「痛みは倍加した。何かおかしいと思って再診した」
  • クリニックではさらに追加検査おこなわれたが結論出ず、咳止めシロップ1ビンもらって帰宅。
  • 症状はさらに悪化、めまい・吐き気・発熱。胸痛↑、激しい頭痛。
  • 母親は病院に行けと言ったが、ベッドから抜け出す気力なし。
  • 「ものも食べられず2日間ひたすら眠った(本人談)」
  • シーツは寝汗でビショビショ、3回取り替えた。
  • 5月6日にEtibocoke総合病院受診。悪寒が強く重ね着してようよう。
  • 「死にそうだった。眠り込んだら起きないような・・・(本人談)」
  • 総合病院では脱水補正、髄膜炎疑い腰椎穿刺、タミフル、抗生物質、投与受け、激しい頭痛・胸痛・全身痛に対しモルヒネが投与された。
  • ICUで2日間治療受け、5月8日退院。
  • その2日後、トロント公衆衛生当局は、豚インフルエンザ(当時)であったと告げた。
  • 「人生最悪の経験だった。動けない。死ぬかと思った。息もできないし(本人談。あくまでも主観)」
  • 新型インフルエンザの症状は「無症状」から「トラックにはねられたような痛み」まで様々。
  • 仕事は郵便局と空港荷役かけもち。感染者と接触の機会あるが正確に同定できない。
  • このケースは人工呼吸器の使用に至らず、「mild」ケースとの病院発表に対し「That's crazy!」と反発。

このケースから教訓・考察はいろいろ。

  • 基礎疾患(この場合、気管支炎)を持っていて弱いところ(この場合、呼吸器系)があると重症化しやすいと指摘されてきた通りになっている。
  • しかし、人工呼吸器を使用せず済んでいるので「mild(軽症)例」に分類されている(注:本人主観では「息できない」「死にそうだった」と記者に語っているが、実際には人工呼吸器使わず済んでいる) → 本人はそれに納得できず、母親がマスコミに電話かけて記事になっている。管理人としては、人工呼吸器につながれなければ「mild」という分類に少々無理があるのではと思う。mildとsevereの間に何段階か必要ではないか?
  • このケースでは、最初の受診から10日間、インフルエンザを考慮されず(結果的に誤診と言われても仕方ない。4月末のカナダは豚インフル騒ぎになっていた時点)、抗生剤やら咳止めシロップやらでフォローしたら悪化した。総合病院でタミフル投与されたら2日間で退院できた。 → 既往歴のある呼吸器患者を見たら、インフル検査しなければならない。適切な時期にタミフル投与すればOKだけど遅れると無用な苦痛与える (ほとんどの日本の医者は、もっと優秀でそんな事先刻ご承知ですが)
  • 受診者には「そうでしたか」「大変ですね」と支持的に対応し、受容してあげましょう。 受診者は、ギリギリ過労状態の医療現場で「That's crazy!」なんて言葉は投げつけないようにいたしましょう。崩壊します。

ソースは5月16日付 thestar↓
http://www.thestar.com/article/635351
Battle with swine flu: 'I thought I would die'

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 噂の検証:新型インフルエン... | トップ | 医療現場に激励の声を届けよう! »
最新の画像もっと見る

インフルエンザ:海外の動き/海外発生」カテゴリの最新記事