NYのケネディ空港のひと騒動。エミレーツ航空の機内で呼吸器症状・消化器症状が多発してケネディ空港到着後に検疫、たまたま乗り合わせたラップ歌手がツイッターに画像を載せたこともあり大きな話題になりました。この機体がメッカのハッジ巡礼者を乗せていたことから色々憶測も呼びましたが、機内発症とうことで、潜伏期からMERSは最初から否定的、インフルエンザ陽性も確認され、インフルエンザでしょうということになっているが通常の季節性かどうかわまだわからず。ビジネスインサイダーがハーバードにも取材かけて論評。
- 今回の件は警告。もしこの機内で発生したのがインフル以外の病気で、行先がケネディ空港でなかったら、もっと大変なことになっていただろう。
- このフライト以外にも、パリとミュンヘンからフラデルフィアに着いたフライトで、同様に咽頭痛うったえた乗客があり、同様に検疫うけた。これらの乗客はみな、メッカの巡礼帰り。
- もしもインフルよりも致死率の高い疾患であったら、災害級の話になっていただろう。
- 実際に今回はケネディ空港の公衆衛生担当者は良い仕事をした。世界中では、適切なサーベイランスがおこなわれず感染者を見つけられない空港はごまんとある。MERSはより致死率高い疾患で、呼吸器症状。見つけられなければ世界中に散らばる。
- メッカ巡礼において、デング熱・シストソーマ・ハンセン氏病のある国々からも70万人の巡礼者が集まってくる。
- 医療者のさらなる教育の必要性指摘。
国内では相次ぐ災害報道の隠れてベタ記事からせいぜい数段の本件ですが、実はかなりヤバイ紙一重。これを教訓に、検疫予算の充実を願いたいものです。
この記事に使われている写真、ラップ歌手がツイッター投稿してた写真と同じです。アップした歌手は"tons of ambulance"なんて表現してましたが、米当局の底力を見せつけられたような写真ですね。
かつて、2009年のH1N1騒動のときには機内検疫の画像が、エボラや韓国MERSのときには検疫所の映像が繰り返し掲載/放映されるとともに、一方で検疫無意味論も流れました(まあ、そりゃあ検疫万能論は×としても無意味論もなあ)。将来、どこかの国の感染症関連の話題が日本のメディアを賑わす事態になったとき、そのような論唱える御仁も出てきそうです。その節は、この写真を見せてあげましょう。USAではこんな風よと。
A Harvard professor says the dozens of passengers sickened on international flights are a clear 'warning shot' of a worst-case scenario