大原一つテンヤ 夕まづめにタイ乱舞

友人らとの飲み会がお開きとなった9日（金）深夜、
仕事場に戻りＰＣを眺めているうちに睡魔に襲われ、
翌朝5時に目が覚めたらいつの間にか床に転げ落ちていた。

二日酔いと寝不足の身体を労わりながらＰＣを再起動。
ニュースをチェックした後、大原・孝栄丸のＨＰを覗くとさらに目が覚めた。

「中ダイ４匹にマダイ、大ハナダイで48匹。
もう一人も中ダイ、マダイ、大ハナダイで41匹。
夕刻5時半にあまりにも釣れたので終了」

すぐに仕事場を後にし、船頭の携帯にコールした。
この日の午前船には釣友Ｋ君がフグ釣りで同船に乗っており、
日並みがよければ午後も通しで一つテンヤをやると聞いていたからだ。


職漁船仕様のシブい孝栄丸

開口一番。
「タイは、今日もよさげですよ～。チャンスですよ～」
前日の大爆釣の釣果に満足げな船頭の声が耳をくすぐる。
聞けばこの日の潮色も薄濁りで期待十分。Ｋ君も通しで乗ることに決めたという。

先週の釣り・花見に続き、今週は飲み会・釣りと休養なしの強行軍となるが
答えは電話をかけた時点で決まっていた。
「ほんじゃ、オレも行くよ～」

10日（土）6時19分、新橋烏森通りを闊歩する足取りは軽く、
二日酔いで揺れていた頭は、すでに太東沖の船上にいる心地だった。

自宅に取って返し、眠れないことはわかっているので仮眠はとらず、
リーダーを結び直しただけで大原へ向かった。
ふだん、大抵の釣り物はすぐにいけるよう準備をしているから
突然の釣行となっても何も問題はない。


前々回一つテンヤで乗船した富士丸。午後船も多数の釣り人が乗っていた

11時半に宿の休憩場所でＫ君と合流。フグの釣果はまずまずで
大型中心にトップ28匹。しかも宝くじのようなトラフグまで揚がったというから縁起が良い。
釣り人7人の期待を乗せて、12時過ぎに出航。
一路、昨日の爆釣ポイントの太東沖25メートルダチをめざした。


1日通しで乗るＫ君はポイントに着くまでしばしの休息中

レイパンのエビは、最近の需要過多を物語るように中エビサイズ。
中には飯岡ハナダイで使用するスムシほどの小さいエビも混じる。
大き目のエビを選びテンヤ6号に丁寧にエサづけして実釣開始。


一つテンヤブームの煽りで供給が間に合わないレイパンは中エビサイズ

ひと流し目からポツリポツリと小型のマダイ、ハナダイが顔を見せる。
ハデなアタリで本命と勘違いさせるのは、前日は成りを潜めていたという大ウマヅラ。
底潮が昨日より3度ほど下がったそうで、テンヤを触るとヒンヤリ冷たい。
おまけに潮の流れも緩慢とあっては…、これ以上の期待はできそうにない。


Ｋ君とお揃いで購入した浅草の有名釣具オリジナルロッド

この場所に見切りをつけた船頭は、しばらくポイントを休ませるため
水深40メートルの中深場に移動を決断した。
次のポイントも小型ながらもマダイ、ハナダイが竿をしならせる。
それ以上にライトタックルを喜ばせてくれたのが、
産卵期を迎えてまるまると太ったホウボウだ。


高級外道のホウボウは産卵期とあってまるまると太っていた

40～50センチの良型が鮮やかな羽を広げて飛び込んでくる。
船のあちらこちらから「グー、グー」と鳴く声が飛び交い、
しばらくは田んぼのカエル状態となった。


夕まづめに突入する前、暗くなる前に撮ったこの日の半分の釣果

やがて夕刻のゴールデンタイムが近づき、最初に攻めた25メートルのポイントに移動。
前日の夕まづめショーの再演を夢見てシャクリを繰り返す。
（釣友のある名人は夕まづめのことを“夕まじめ”と真面目な顔をして口にする）
すると、夕飯のエビを待っていたかのように、タイの鋭く小気味よいアタリが連発。


疲れを忘れて頻繁に竿を曲げていたＫ君

上がってきたのはこの日のレギュラーサイズのハナダイ

海面までガクガクと竿を叩いて暴れてくれるから実に面白い。
落ちてくるエビをタイが奪い合って食いつくように
着低と同時にアタリがあることも少なくない。

教科書通りの落とし込みでタイの口にハリを掛けるのもこの釣りの醍醐味だ。
ゆっくりシャクった竿先を海面まで一気に振り下ろす。
テンヤに引っ張られて沈んでいくラインの動きが急に早く沈んだり、
フワっと止まった時がタイのアタリ。

ここで素早く竿を立てると同時にリールを巻けば、
ガッチリとタイの硬い口にハリ掛かりし、
下に下にと抵抗するタイの引きを堪能できる。

ただし、竿を振り下ろす際にラインが竿先に絡まないように注意しなければいけない。
ＰＥの細いラインが細い竿先に絡まったら厄介で、
船上が暗くなれば竿先も見えにくくなり、合わせた途端に「ボキッ」では泣くに泣けない。


この日最大となったキロオーバーを掲げるＫ君

前日のようにはいかなかったものの（前日が異常で出来すぎ）
この日の“夕まづめ” のタイの食い気はご機嫌で“マジメ”だった。
型はＫ君のキロ弱が最大で中ダイ以上とは縁がなかったが、
暗闇の海面から電球の明かりに灯された船上へと次々とタイが乱舞した。


さすがのＫ君も12時間釣行の長丁場に帰りはグッタリ

心地よい疲労感に包まれた午後６時半に沖上がり。
マダイ、ハナダイ18枚、良型ホウボウ６枚、大ウマヅラ４枚でクーラーは満杯となり、
仕事場の床上で明けた波乱の一日を振り返りながら
帰港するまでのわずかな時間をむさぼるように眠りについた。


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