狙って釣っても、本命に出会えないことは珍しくない。
本命で狙わなくても、嬉しい外道として釣れることも、ままある。
先週17日(金)、勝浦・海中公園沖での根魚釣りは、そんな思いがけない釣りだった。
勝浦港・初栄丸から出船したのは、今月10日前後から釣果があがりだしたアカイカと、
メバル・カサゴを中心とした浅場根魚のリレー釣り。
この日釣り人は釣友K君とJちゃんと私の3人だけの貸し切り状態。
右舷ミヨシから順にJちゃん、K君、船頭。そして私が左舷ミヨシに座った。
期待を込めたアカイカの第一投は、興津沖の60mダチ。
7cmスッテ4本と、大型を意識して一番下にトトスッテ(交換で4号布スッテ)の
ブランコ仕掛けを配し、80号錘を前方に勢い良くブン投げる。
着底と同時にグイ、グイ~ンというジェット噴射の引きを堪能……!!
という甘い期待は当たり前のように裏切られ、
いろんなシャクリバターンや仕掛けの上げ下げを繰り返してみたが
アカイカの乗りは一向にやってこない。
ようやく掛けた船頭が水面まであと数メートルでばらし、
次いでK君もグイ~ンの引きを楽しむ間もなく、カンナを伸ばされサヨナラされた。
結局一時間ほど粘ったが、船頭は見切りをつけて根魚釣りに移動を告げた。
1リットルの沖漬け用のタレが無駄になり、女房にイヤミを言われることを心配しながら
電動巻き上げのレバーを起こすと、いきなり「ガツン」という重さが竿に加わった。
あわててレバーを戻し低速にしたが…、あとの祭り。
仕掛けを上げてみるとカンナ1本が真っ直ぐに伸び切っていた。
過去にも何度か経験し悔やんだことだが、仕掛けを回収する際は
乗り(魚の場合は居食い)を確認してからスイッチONにすべしと反省する。
サビキで活きエサ用のカタクチイワシを調達
気分を入れかえて根魚釣りへ、まずは活きエサとなるカタクチイワシを調達する。
8本サビキに50号錘の仕掛けを入れると、水深10mほどで軟調竿がガクガクとしなる。
「それ、イワシだよね?」
船頭が心配するほど海中に突き刺さった竿をあげてみると、
鈎数だけ掛かったイワシが鈴なりになり、
アゴが外れたように口を開けてブルブルと空中で踊っている。
仕掛けを落とせば、その繰り返し。特にこの日はイワシの回遊が多く、
魚群探知機の画面はイワシで真っ赤だったという。
各自30~40匹のイワシをキープしたところで、根魚仕掛けに変更。
鈎は丸セイゴ17号で、枝ハリス4~5号30㎝。
幹糸5~6号に枝間60㎝の2本鈎仕掛けで挑む。
30cm級の良型アヤメカサゴ
12、3㎝の活きの良いイワシの下アゴから上アゴに鈎を抜き、
水深20m前後のポイントに仕掛けを放り込むと、
着底とほとんど同時に竿先がガタガタと震えた。
ひと呼吸置いて竿を立てると、根に向かってグイグイと引き込む根魚の引き。
「来たよ~」と釣友2人に声を掛け、
大きく弧を描くパラボライト200Fのロッドの曲がりを楽しむ。
やがて海面にポカンと浮上したのは、黄色い筋状の模様が鮮やかなアヤメカサゴ。
食味は少し癖があり本カサゴより劣るが、それでも尺サイズの立派な“アラカブ”だ。
なんと2投目も第1投と同じ展開になったのには驚いた。
仕掛けが着底し、底立ちを取り直す間もなく「ガクガク」と来たのだ。
揚がってきたのは同じサイズのアヤメカサゴ。
これには思わず「入れパクだよ~」とK君、Jちゃんを煽ってしまった。
その後は2人とも順調に竿を曲げ、カサゴ、アヤメカサゴ、小ぶりのマハタ、
マトウダイ、オニカサゴなど五目釣りを達成した。
突然、手持ち竿に「グッ、グッ、グッ」と強い引きがやってきた。
カサゴ類とは明らかに違う重厚な手応えに、竿先を海中に沈めて次の引き込みを待った。
3秒ほど後に訪れた、ひったくるような強い引き込みに竿を立てると、
軟調竿が根元からグニャリと曲がった。
滑るドラグを右親指で調整しながら慎重にリールを巻き上げる。
横に走るような途中の引き込みをかわし、
海面にユラユラと浮上してきたのは見まごうことなき、ヒラメ。
1.6㎏グルメサイズのヒラメ
「ハタかと思っていたよ」と船頭が掬ってくれたヒラメは
肉厚たっぷりの後検量1.6㎏のグルメサイズだった。
前回のヒラメ釣りでは一人カヤの外となったが、
思いがけずやってきたウラ本命に感謝した。
この日はことのほかカタクチイワシの回遊が多く、
船頭によるとイワシを追って「渡りビラメ」がやってきているという。
すぐにJちゃんが釣った小ソゲはご愛嬌として、
そのことを見事証明してくれたのが、K君だった。
まさに「ドカ~ン」と炸裂するような衝撃がK君の竿を襲った。
「竿を立てて!」「竿尻をハラに当てて」「ゆっくり、ゆっくり~」
興奮気味の船頭が、K君の隣で次々と指示を飛ばす。
このポイントはマハタが揚がる場所で、3、4㎏も実績があるという。
大物は大ビラメ? マハタ? はたまたジョーズ??
K君の傍で薄濁りの海中をのぞき込むと、次第に褐色の魚影が姿を現してきた。
「ヒラメだ。でかい、大判だ」
思わず叫ぶほど、根魚釣りで予想もしていなかった大物の出現にド肝を抜かれた。
船頭が差し出したタモ網が小さく不安を感じたが、
そこは百戦練磨のプロ漁師。一発で大ビラメを掬い取った。
が、タモ網に入ったヒラメが暴れた途端、
伸ばされた17号の鈎はポキリと折れ、危うかった。
30リットルのクーラーからはみ出す5.4㎏80㎝の大判ヒラメ
「狙ってもなかなか釣れないサイズだよ」
船頭はほんとうに嬉しそうに顔をほころばせ、K君とガッチリ握手を交わした。
下船後に検量すると、血抜き後で5.4㎏、80㎝の見事な大判だった。
55㎝のグルメサイズ(左)と80㎝の大判ビラメ。K君、参りました
初めてのヒラメ釣りで4枚を揚げて以来、
苦節12連敗のオデコ街道を歩んできたK君。
狙わなくても釣れるのが、釣りの面白さ。
長いトンネルを抜けたK君同様に、
思いも寄らぬ恋人と出くわした、そんな愉快な釣りだった。
ヒラメのお造り
甘みたっぷりのエンガワで朝から酒がグビグビすすむ
旬のタケノコとカサゴの煮付け
本命で狙わなくても、嬉しい外道として釣れることも、ままある。
先週17日(金)、勝浦・海中公園沖での根魚釣りは、そんな思いがけない釣りだった。
勝浦港・初栄丸から出船したのは、今月10日前後から釣果があがりだしたアカイカと、
メバル・カサゴを中心とした浅場根魚のリレー釣り。
この日釣り人は釣友K君とJちゃんと私の3人だけの貸し切り状態。
右舷ミヨシから順にJちゃん、K君、船頭。そして私が左舷ミヨシに座った。
期待を込めたアカイカの第一投は、興津沖の60mダチ。
7cmスッテ4本と、大型を意識して一番下にトトスッテ(交換で4号布スッテ)の
ブランコ仕掛けを配し、80号錘を前方に勢い良くブン投げる。
着底と同時にグイ、グイ~ンというジェット噴射の引きを堪能……!!
という甘い期待は当たり前のように裏切られ、
いろんなシャクリバターンや仕掛けの上げ下げを繰り返してみたが
アカイカの乗りは一向にやってこない。
ようやく掛けた船頭が水面まであと数メートルでばらし、
次いでK君もグイ~ンの引きを楽しむ間もなく、カンナを伸ばされサヨナラされた。
結局一時間ほど粘ったが、船頭は見切りをつけて根魚釣りに移動を告げた。
1リットルの沖漬け用のタレが無駄になり、女房にイヤミを言われることを心配しながら
電動巻き上げのレバーを起こすと、いきなり「ガツン」という重さが竿に加わった。
あわててレバーを戻し低速にしたが…、あとの祭り。
仕掛けを上げてみるとカンナ1本が真っ直ぐに伸び切っていた。
過去にも何度か経験し悔やんだことだが、仕掛けを回収する際は
乗り(魚の場合は居食い)を確認してからスイッチONにすべしと反省する。
サビキで活きエサ用のカタクチイワシを調達
気分を入れかえて根魚釣りへ、まずは活きエサとなるカタクチイワシを調達する。
8本サビキに50号錘の仕掛けを入れると、水深10mほどで軟調竿がガクガクとしなる。
「それ、イワシだよね?」
船頭が心配するほど海中に突き刺さった竿をあげてみると、
鈎数だけ掛かったイワシが鈴なりになり、
アゴが外れたように口を開けてブルブルと空中で踊っている。
仕掛けを落とせば、その繰り返し。特にこの日はイワシの回遊が多く、
魚群探知機の画面はイワシで真っ赤だったという。
各自30~40匹のイワシをキープしたところで、根魚仕掛けに変更。
鈎は丸セイゴ17号で、枝ハリス4~5号30㎝。
幹糸5~6号に枝間60㎝の2本鈎仕掛けで挑む。
30cm級の良型アヤメカサゴ
12、3㎝の活きの良いイワシの下アゴから上アゴに鈎を抜き、
水深20m前後のポイントに仕掛けを放り込むと、
着底とほとんど同時に竿先がガタガタと震えた。
ひと呼吸置いて竿を立てると、根に向かってグイグイと引き込む根魚の引き。
「来たよ~」と釣友2人に声を掛け、
大きく弧を描くパラボライト200Fのロッドの曲がりを楽しむ。
やがて海面にポカンと浮上したのは、黄色い筋状の模様が鮮やかなアヤメカサゴ。
食味は少し癖があり本カサゴより劣るが、それでも尺サイズの立派な“アラカブ”だ。
なんと2投目も第1投と同じ展開になったのには驚いた。
仕掛けが着底し、底立ちを取り直す間もなく「ガクガク」と来たのだ。
揚がってきたのは同じサイズのアヤメカサゴ。
これには思わず「入れパクだよ~」とK君、Jちゃんを煽ってしまった。
その後は2人とも順調に竿を曲げ、カサゴ、アヤメカサゴ、小ぶりのマハタ、
マトウダイ、オニカサゴなど五目釣りを達成した。
突然、手持ち竿に「グッ、グッ、グッ」と強い引きがやってきた。
カサゴ類とは明らかに違う重厚な手応えに、竿先を海中に沈めて次の引き込みを待った。
3秒ほど後に訪れた、ひったくるような強い引き込みに竿を立てると、
軟調竿が根元からグニャリと曲がった。
滑るドラグを右親指で調整しながら慎重にリールを巻き上げる。
横に走るような途中の引き込みをかわし、
海面にユラユラと浮上してきたのは見まごうことなき、ヒラメ。
1.6㎏グルメサイズのヒラメ
「ハタかと思っていたよ」と船頭が掬ってくれたヒラメは
肉厚たっぷりの後検量1.6㎏のグルメサイズだった。
前回のヒラメ釣りでは一人カヤの外となったが、
思いがけずやってきたウラ本命に感謝した。
この日はことのほかカタクチイワシの回遊が多く、
船頭によるとイワシを追って「渡りビラメ」がやってきているという。
すぐにJちゃんが釣った小ソゲはご愛嬌として、
そのことを見事証明してくれたのが、K君だった。
まさに「ドカ~ン」と炸裂するような衝撃がK君の竿を襲った。
「竿を立てて!」「竿尻をハラに当てて」「ゆっくり、ゆっくり~」
興奮気味の船頭が、K君の隣で次々と指示を飛ばす。
このポイントはマハタが揚がる場所で、3、4㎏も実績があるという。
大物は大ビラメ? マハタ? はたまたジョーズ??
K君の傍で薄濁りの海中をのぞき込むと、次第に褐色の魚影が姿を現してきた。
「ヒラメだ。でかい、大判だ」
思わず叫ぶほど、根魚釣りで予想もしていなかった大物の出現にド肝を抜かれた。
船頭が差し出したタモ網が小さく不安を感じたが、
そこは百戦練磨のプロ漁師。一発で大ビラメを掬い取った。
が、タモ網に入ったヒラメが暴れた途端、
伸ばされた17号の鈎はポキリと折れ、危うかった。
30リットルのクーラーからはみ出す5.4㎏80㎝の大判ヒラメ
「狙ってもなかなか釣れないサイズだよ」
船頭はほんとうに嬉しそうに顔をほころばせ、K君とガッチリ握手を交わした。
下船後に検量すると、血抜き後で5.4㎏、80㎝の見事な大判だった。
55㎝のグルメサイズ(左)と80㎝の大判ビラメ。K君、参りました
初めてのヒラメ釣りで4枚を揚げて以来、
苦節12連敗のオデコ街道を歩んできたK君。
狙わなくても釣れるのが、釣りの面白さ。
長いトンネルを抜けたK君同様に、
思いも寄らぬ恋人と出くわした、そんな愉快な釣りだった。
ヒラメのお造り
甘みたっぷりのエンガワで朝から酒がグビグビすすむ
旬のタケノコとカサゴの煮付け