鬼笠子 しわぶり尽くす 大寒日

オニカサゴは、本当にエライ魚だと思う。
高級料理店でもほとんどと言っていいほど味わえないバツグンの食味は
薄造りの刺身は言うまでもなく、しゃぶしゃぶ、鍋ダネと文句のつけようがない。
何より“エライ”と思うのは、その身肉はもちん各部位がことのほか旨いのだ。


目の後ろの頭上にナイフを入れ、船上でしっかりと活き〆する



一日寝かせ旨みを出したほうが好まれるが、モチモチした食感の後に訪れる甘さが味わえる
当日の刺身も捨てがたい

まず、頭とカマは梨割りにし、
そのまま鍋に入れてボン酢で食せば、旨いのは当たり前。
それよりも、旨みエキスが皿に溢れ出る「酒蒸し」で味わい尽くしてほしい。

昆布を敷いた皿に頭を表側、カマを裏側にして並べ、
少量の塩とお猪口３杯分位の日本酒をかけて15分ほど蒸す。

ギッシリ身肉が詰まった頬とカマの贅沢な味。
唇、目の下、頭とカマの皮の、まったりプルプルした濃厚なコラーゲン。
紅葉おろし、万能ねぎを薬味にしたポン酢で供すれば、
骨の髄までしわぶること、請け合いだ。
最後に、鬼カサゴのエキスがたっぷりしみ込んだスープをゴクリ。
もはや、何も言うことはない。


分厚い唇周り、カマのダブついた皮、腹骨周りは特に絶品　　酒蒸しの写真を撮るのも忘れ食い尽くしてしまった（笑）

胃袋、肝臓、腸、皮の“四種の神器”は、昨年ココでも触れたが、
オニカサゴに代表される根魚が生み出す「至高の酒肴」の食材となる。

オニの場合、プルプルのコラーゲン付き皮を入れれば、
ねっとりとしたコクのあるキモの甘さが融和剤となり、
シコシコ、コリコリの胃袋、腸の食感との違いを楽しみながら
それぞれの部位の旨さを心ゆくまで堪能できる。


プルプルの皮、輪切りの胃袋、細長いのは腸。濃厚なキモをポン酢に溶かし、
部位に絡めて食せば、口の中で至福の四重奏が奏でられる

オニカサゴのヒレは知る人ぞ知る、フグのそれにも負けない貴重なヒレ酒の種になる。
作り方などと言うほどのものではないが、キッチンバサミで胸ビレと尾ビレを切り、
一升瓶などに丁寧に広げて貼り付けるだけ。後はカラカラに乾くまで辛抱強く待つ。
フグヒレと違って薄いため、焦がしすぎないようじっくり時間をかけて炙ればよい。


３匹分計９枚のヒレの仕込み完了。大きなヒレは２、３等分してヤルから、
軽く一升のヒレ酒が呑める

鬼笠子 しわぶり尽くす 大寒日

今宵も、鬼カサゴに畏敬の念を抱き、酩酊する。



　「釣りブログ村」ランキングに参加中。
↓下の「船釣り」ボタンをクリックして下さい。
よろしくお願いいたします！

にほんブログ村