医大生・たきいです。

医大生的独言。

あ、人が倒れている!

2015-02-08 23:59:59 | 医大生的生活

「あ、人が倒れている!」

というお決まりのフレーズの後に、人形相手に胸骨圧迫、続いてAEDという一連の心肺蘇生法をシュミレーションするのは、運転免許をお持ちの方ならご存知であろう。はじまったの意外と最近なのかもしれないけど。一般常識になってきた感すらあるが、医学部では実技試験として課される。医学部入学当初に一回習って、試験の前にまた習う。
この業界の噂話があるのだけれど、日本で初めてAEDを使ったのは大学をサボって某イベントに遊びに出かけていた医学部の学生だったとか、そうじゃなかったとか(笑)。称えられるべきだけど称えられないといったような微妙な雰囲気になったとかいう逸話もある。この話を拡大解釈して我々は遊んでいても人のためになるとか言い始めたいものですが、確実に怒られそうなのでこのへんにしておきます(笑)。古き良き時代は出席をとらなかったみたいだけれど、最近はうるさいのです。これはちょっと意外だったのだけど、天下の東京大学様ですら学部によってはそうだって聞いたから諦めるしかありません。明日からまた学校です。医大生・たきいです。



OSCEという実技試験がある。オー・エス・シー・エーと書いて「オスキー」と読む。“Objective Structured Clinical Examination”の略であるということをたった今知った(笑)。運転免許でいえば実技試験のほうで、平たく言えばお医者さんごっこ。これと学科試験のCBTっていう試験を両方パスすると臨床実習参加を認められる「学生医」の資格をもらえる。

臨床実習にすら出ていない我々医学部の学生は経験値がほぼゼロ。いきなり変な患者がやってきて相手をしろなんて言われても誰もできるわけがないので、想像の範囲内の患者さん役相手にマニュアルに沿ってこなせば大丈夫。な、らしい。

因みに採点官の先生は全員医師みたいだけど、たくさんの医師を集めるというのはなかなか難儀のようで、試験官のバイトを必死に集めている感じが学生の目から見ても伝わってきた。採点の話を聞いて「へー、知りませんでした、そうなんですか」とか言っちゃってる先生もいたし。ちょっとした観光気分で試験官のバイトに来られている先生もいらっしゃるようで、「さっきの君だよね?」と言われて、本来部外者立ち入り禁止の場所を案内させられそうになったことも。去年模擬患者のお仕事をして、そういった実態というか裏側を見てしまったので正直少し、この試験の印象が悪い。それだけ人件費を使うのなら、試験という形式を取るよりむしろ、医学生に医師がマンツーマン指導とかした方がずっと教育効果があるんじゃないかというのが個人的な建設的意見。ただし、後輩諸君は須らく模擬患者はやってみたほうが絶対いい。雰囲気が分かるので。

さておき。

練習している時間ももちろんマニュアルに則って練習する。だもんだから、みんな一句違わず

「あ、人が倒れている!」

と口に出すのだけれど、ちょっとおかしい。笑っちゃいけないのかもしれないけれど、全員が全員、感動詞「あ」を抜かさないのがちょっとツボ。

実際に手袋ははめないのだけれど、

「感染防御のため、手袋を装着しましたっ!」

って言うだけ言って採点官にアピールしなければ減点、というのもちょっとおかしい。あんまり笑っていると本番で自分が言い忘れそうなのでこのへんにしとくけど。笑

どうしてこういうことが「おかしい」と感じてしまうかというと、「実際は違うこともから」ということに尽きるだろう。果たして「あ、人が倒れている!」と口に出す人の割合はどれだけだろうか。「そんなこと言ってる暇あったら動け」と仰りそうな先生も少なくない気もする。笑

確かにちょっと変な気もする。それでも我々にこんな試験が課されているのは、「まずは基本の形から入りなさい」という偉い先生方のメッセージとも取れよう。文句垂れる前に素直に勉強するのが吉と見た。









(最近習慣飲酒になってきた人(笑))