Truth Diary

死刑囚その驚きの現場は

  オウム真理教の麻原死刑囚ら7人が死刑執行された。 そのようなニュースにひかれ、「元刑務官による死刑のすべて」という本の驚くべき内容に引き込まれ一気に読了した。その驚くべき内容をかいつまんで披露すると。
 筆者は全国の拘置所・刑務所に三十数年勤務した元刑務官である。彼ら法務省管轄に所属する矯正職員はは国家公務員で、その中で看守等の下級職は学歴は問われないので中卒者からいるそうで、常に被疑者、受刑者らと接して看視や指導、教育などに当たるという。
 一方刑務所長や主席と呼ばれる上級職は国家公務員上級職試験を通った、「キャリア」と言われる一部のものが就くことになる。中には看守からの叩きあげの成績優秀者居るがそうした出世者には、周りの嫉妬からの妨害や、プライドを持ったキャリア組からのいやがらせなども付きものらしい。
 看守として最も気を遣うのは死刑確定者の取り扱いで、近いうちどうせ死ぬんだ、罪をおこした代償として命で償うんだからと開き直り反省の色を見せない死刑囚が居るという。中には冤罪による死刑囚もいると断言し
救済の道を断たれた者へのなすすべない慙愧の思いも吐露している。 死刑囚の房を担当する看守たちも明日の命の保証のない人達だと、はれ物に触るような気の遣いようで、図に乗った死刑囚らが無理難題を吹っかけて看守を篭絡させ房内の秩序を乱し、それが他の受刑者にも伝搬してついには無法状態化して酷いことに房内でアダルトビデオを見たり、酒タバコを与えたりしたことが内部告発により一般に知られることになり大問題になった刑務所があったという。
 死刑囚などと身近に接する刑務官は看視、教育、相談などを通じて精神・健康状態を維持しながら、まっとうな人間になるよう、読書や映画鑑賞などや作句、絵画、文芸などの情操教育や、牧師、僧侶などの法話説教などにより人間性の矯正に努めるが、健康で来るべき死刑執行の日まで何事もなく過ごさせるのは皮肉にも元気なままで命を絶つためだという。その時被害者やその家族への反省、悔悛の気持ちを持たせて、絞首台に上がる時には罪を悔いて被害者に詫びの遺書を残して清々した気持ちで死出の旅路に立ってもらいたいと願っているという。
 しかし、中にはその瀬戸際になって取り乱し絞首台を拒むもの、首び縄を付けさせまいとして暴れるものなど、看守数人がかりでやっと治めて最後に踏板を外すこともままあるという。
 残虐な犯行で人を殺した犯人(死刑囚)であるが、人類として最も憎むべき殺人を国家権力で執行する死刑は殺人と言う点では行為そのものは、死刑囚のやった残虐な殺人となんら変わりないと筆者は断じ、職業として明日の無い死刑囚と共に過ごす刑務官の職務の無念さ厳しさを訴えている。
 死刑廃止論が人権擁護団体、などからあがり、世界の趨勢と支援者も多いという。
 かたや、被害者の親族などは極刑が無くなれば殺人などの重大事件の増加につながり時期尚早との世論も根強い。
 人が人を殺すことは絶対あってならない野蛮な行為であることを双方が理解してはじめて廃止論が陽の目を見る時ではないか、筆者は厳しく酷い立場にあった人間だからそう言えるのであろう。仙台拘置所にはオウムの林死刑囚がいてその日を待っている。
 受刑者に合掌

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