おそらく、2017年公開『カメ止め』の興行的成功に目をつけた製作陣が、映画→アニメの世界におきかえて2匹目のドジョウをねらったお仕事ムービー企画であろう。今どきのアニメには全く興味のない私のようなジジイが見ると、つい製作現場で働いている人たちまでアニメの中の登場人物のようにリアリティのない存在に見えてしまって、『カメ止め』には感じられた熱き想いをまったく感じられなかったのである。それは何故か . . . 本文を読む
多くの皆さんのご指摘どおり、本作はバディムービーの傑作といわれているマイケル・ベイ監督『ザ・ロック』(96)の896作品であることは疑いようのない事実であろう。韓国オリジナル→ハリウッド・リメイクという今までの流れには明らかに逆行する本作は、その巧妙な896テクニックについて是非とも注目しておきたい1本なのである。まずオリジナルの化学オタクでFBI捜査官のグッドスピード . . . 本文を読む
最近のフランス映画は“対物性愛”花盛りである。おそらくジュリア・デュクルノーの『TITAN』がカンヌ映画祭でパルムドールをかっさらった影響だろう。『TITAN』の対象が“車”であったのに対し、本作の主人公が欲情する相手はなんと遊園地の遊具である。監督さん曰く、エッフェル塔に恋した女性の記事を新聞で読んで本作を着想した、なんてことをもっともらしく語っていたらしいが、映画化までこぎつけることができたの . . . 本文を読む
お隣のスウェーデンに比べるとちょっと垢抜けないイメージがあるフィンランド。ムーミンの故郷としても有名なフィンランドで外科医をしている真面目な男が、もしもSMプレイにはまってしまったら...休暇中溺死した奥さんのことが忘れられず魂の脱け殻となったユハは、たまたま娘のピアス施術に帯同した時に覗いた地下室で.、禁断の果実に触れてしまう。モデル体型のモナちゃんにはじめは犬扱いされてはにかんでいたユハだった . . . 本文を読む
劇中しつこいほどに登場するジム・ジャームッシュ監督『ナイト・オン・アース』の一幕。公園で恋人を待ち続ける男(永瀬正敏)は、同監督『パターソン』へのオマージュだろう。(ついでに言わせてもらえれば、あの変な体操は多分『リミッツ・オブ・コントロール』からの引用)一瞬主人公照生と恋人の葉が同じ年のおなじ誕生日を繰り返すタイム・リープSFかと勘違いするシナリオだが、『ブルー・バレンタイン』を思わせる . . . 本文を読む
わたしはテレビ東京で放送していたこのドラマの一応ファンである。しかし、アマブラでレンタルして見た本作の出来にはかなり不満足、というよりダメダメである。監督や脚本をTVと同じ方が担当していることから察するに、もともと本作の持つスケールが映画の器には適していなかったような気がするのである。でも映画自体は大ヒットしたよね?確かに。だがしかし、興行成績と作品の出来が必ずしも合致していないのが昨今の映画業界 . . . 本文を読む
クランクイン直前に主演予定だった志村けんがコロナ罹患により急死、直後本作の撮影中止が決定したという。キネマの神様ならぬ悪魔に取り憑かれた作品でもあるのだ。代役として沢田研二が剛ちゃん役に決定し、撮影再開にいたるまでかなりの準備期間があったらしい。シナリオを練り直した結果、新たに盛り込まれたのがコロナ禍にまつわるくだりだったとか。どうも山田洋次のコアなファンであればあるほど、本作への評価があまり芳し . . . 本文を読む
一見してすぐにアンドレイ・ズビャギンツェフの『父、帰る』を思い出したのだが、桑原裕子原作戯曲を映画化した本作の内容はまさにその母さんバージョン、『母、帰る』なのである。ドメバイ夫を子供たちのために轢き殺した母親こはる(田中裕子)はそのまま刑務所に出頭、残された子供たちは自宅兼タクシー会社を引き継いだ叔父の世話になるのだが……聖母的な行いが逆に心理的重荷となり、人殺しの子と周囲に罵られながら大人にな . . . 本文を読む
なんかおかしないかこの映画。キングギドラの3首みたいに、どっち向いて作っとるんかわからせんのじゃ、こん映画。レジェンダリーが中国資本に買収された後の作品じゃきに、中国共産党の顔色を全面的にうかがった作品と思いきやさにあらず。お約束のチャン・ツィー起用に、エコテロリストをワルモンにしたんわ、環境デストロイヤー中国としては当然の演出やろ。そやけど、そもそも竜(ギドラ)って中国にとっちゃ神さんみたいなも . . . 本文を読む
やめられね、とまらね、てカッパえびせんじゃねえっつうの。だいだいさ、こてこてイタリアけいのランボーさにメヒコのめいがいるのか、よくわがらんちかいちょうの。めっちゃつよすぎて、まともにタイマンはれるあいてがいねぐなたシリアルキラーだば、モータル・コンバットのヤバきゃらにもなっでて、マニアのあいださけっこうなネタにされちゃてるっつう。かそうてきこぐでせえ、ビビってねしょうべんたれそうなアメリカのぐんじ . . . 本文を読む
双子1:ちょっとぉ、全然怖くないって噂よこの映画。
双子2:40年ぶりに映画に出てみたらこの様ね、うそー信じられな~い。
双子1:スピルバーグのサブカル・ムービーですっかりネタにもされちゃったしね。
双子2:そうそう。あのオファーは絶対断るべきだった。
双子1:風呂婆なんてあの黒人娘に完全コケにされちゃってたしね。
双子2:「あんれ娘っご怖くねぇのけ?」ってラストの間抜け . . . 本文を読む
この映画、原作者絲山秋子と本作の脚本家荒井晴彦の間で訴訟があったのをご存知だろうか。本作シナリオを出版するに当たって、「活字として残したくない」という原作者側の申し立てが結果として認められた裁判である。なんとその時の賠償額がたった1円という、映画の内容そのものよりも興味深いゴタゴタがとうもあったらしいのだ。
うつ病の痛いオバサンを演じた寺島しのぶをはじめ、前作『ヴァイブレータ』のスタッフをそのま . . . 本文を読む
『メランコリック』という素人メイドのなんちゃって邦画があるのをご存じだろうか。たとえシリアルキラーであっても差別してはいけない。どうせ完全な人間なんかいやしないんだからみんな分け隔てなく楽しくやろうぜ、というダイバーシテシィの意味を完全に履き違えた問題外作である。
人類抹殺を企てる地球外生命体シンビオート3体が、超怪しい財団が打ち上げたロケットに乗って飛来、次から次へと人間に“ヒド . . . 本文を読む
自殺した母親が自分にそっくりな娘のために人生にエールを贈った遺言書をのこすという、冷静に考えれば本末転倒のトンデモストーリーである。音楽に合わせた映像美に定評があった監督さんだけに、シナリオに奉仕したような本作はそもそも“らしく”ないのである。
25年前に撮った長編処女作『ラブレター』(未見)に岩井自身相当な思い入れがあるらしく、本作はいわばそのセルフオマージュ的作品。トヨエツやミポリンをわ . . . 本文を読む
いつからこんなキワモノ映画をダークファンタジーと呼ぶようになったのだろう。怪獣オタクオジサンとして有名になったあのギレルモ・デルトロの悪影響大と見てほぼ間違いないだろう。空港の入国ゲートで鼻をひくつかせるちょっと見ゆりやん似の醜女オバサン。人間の良からぬ感情をかぎ分けられる特技の持ち主という設定だ。麻薬はもちろん、児童ポ○ノデータを仕込んだSDカードだってお茶の子サイサイ。「ちょっと . . . 本文を読む