言語聴覚士の独り言

言語聴覚士の日記

最期の希望

2022-05-20 07:24:00 | 伝えたいこと
昨日は肺癌末期の男性宅へ訪問しました。

その方は失語症もあり話すことは出来ますが上手く意志を伝えられない時があります。

また、うまく理解できない場面があります。

その方が昨日、珍しく病院への不満をたくさん話されました。

話を要約すると不満は二つありました。

一つ目は毎年検診に行っていたのに発覚した時既にステージ4だったこと。

二つ目は医師が話をゆっくりしてくれない事。

来週末の診察後、新しい抗がん剤治療が開始となり副作用が強い事が予想されるため、入院となる予定です。

しかしその方の希望は以下の通りです。

・少しでも妻と一緒に家にいたい
・最期は緩和ケア病棟で迎えたい
・延命治療は望まない

医師の治療方針と希望が合っていません。

私にはどうする事もできませんが

いつもは奥さん(体調が優れない)を気遣い一人で受診をされています。

次の受診の時に少しでも希望が通るように

・奥さんと一緒に行ってサポートを受ける
・上記希望を紙に書いて持っていく

上記二点を助言して希望を書くお手伝いをしました。

本来なら本人様の希望に合わせて医師が治療方針の選択肢を示すはずです。

昨日のご夫婦は“先生は忙しいから”と下を向かれていました。

命を賭けた最期の希望が伝わるように切に願います。

そして、私には何ができるか常に考えます。