言語聴覚士の独り言

言語聴覚士の日記

存在自体が役に立つ

2023-04-07 23:09:00 | 日記
警察官の仕事は犯罪者を逮捕することです。

また、警察官が町にいるだけで犯罪の抑止効果があります。

これも重要な役割だと考えられます。

私は言語聴覚士として訪問してリハビリを提供する仕事をしています。

ご利用者と一緒に訓練を行い、食べられるようになったり、話がうまくできるようになるなどQOL(生活の質)を向上させることが仕事です。

しかし、警察官同様に存在自体が仕事と感じる場合もあります。

入院中に絶食となり、経管栄養のまま退院され、口から食べることを諦めずに言語聴覚士のリハビリを希望される方の中には

私(言語聴覚士)が関わると既に食べることができる方がおられます。

入院中に食べることができない。食べると誤嚥性肺炎になると言われるも退院してから元気になり食べる事ができるようになっているにもかかわらず気付いていないケースです。

私は訓練もしますが食べられる事を医師に伝えて口から食べる許可をいただいて食形態や姿勢など助言を行います。

言語聴覚士が何かを提供するというよりは関わる事自体が役に立つ感じです。

私は常々もっとご利用者の役に立ちたいと知識の更新やスキル向上を意識しています。

しかし、役に立てないと感じることが多く無力感に押し込まれる時があります。

そういう時に口から食べることができるようになり喜ばれているご利用と関わり、少しでも役に立てると嬉しい気持ちになります。

この『存在自体が役に立つ』という事は仕事以外でも言えると思います。

“自分”の存在価値を見出せない時や無力感に襲われる時は

自分の属するカテゴリーを挙げてみます。

私の場合であれば

両親の息子 
⇨元気でいるだけで喜んでくれます。

子ども達の父親
⇨いい親ではないかもしれませんが、守ることができます。

妻の相方
⇨迷惑かけてばかりですが、笑顔にすることができます。

友達の友達
⇨一緒に遊んだり話を聞いたりできます。

家族や友人や所属だけでなく、極論生きているだけで消費者として誰かの役に立っています。

存在自体に価値があると分かれば、無力感や存在価値がないと悩むことはありません。

もっと役に立つためや、存在価値を高める努力をポジティブに進める事ができます。

存在価値の理想を追うだけでなく、存在しているだけで価値があると知っていると少し肩の力を抜いて生きていけそうです。