大槻雅章税理士事務所

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№23 小規模宅地等の評価減の特例

2010-10-19 | ブログ

2010.09.16 財産評価/小規模宅地等の評価減の特例

 被相続人の事業や居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利)を個人が相続または遺贈により取得した場合は、宅地等の用途や地積に応じて、その宅地等の評価額を50%~80%減額できる特例があります。これを小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。
この特例に関し、平成22年度の税制改正で、平成22年4月1日以後の相続等について見直しがありました。これにより、特例を適用できる宅地等の要件が厳格化されたため、改正前に比べて相続税額が増加するケースや、新たに相続税が発生するケースが出てきました。この改正は、今後の相続対策に非常に大きな影響を与えるものとなります。
そこで、今回は小規模宅地等の特例の改正点を解説したいと思います。

<改正点1>相続人等が事業又は居住を継続しない宅地等は適用対象から除外

 改正前は、被相続人の事業用又は居住用宅地であれば、200㎡を上限として、相続人等が事業又は居住を継続しなくても50%の軽減割合が適用されていました。しかし、改正後は事業又は居住を継続しない宅地等の軽減措置は廃止されました(措法69の4)。

<改正点2>共同相続があった宅地等の場合には、取得した者ごとに適用を判定

 改正前は、相続人等のいずれか一人が事業又は居住を継続すれば、事業用400㎡、居住用240㎡を上限として、事業又は居住を継続しない相続人にも80%の軽減割合が適用されていました。しかし、改正後は事業又は居住を継続しない相続人への軽減措置は廃止されました(措令40の2)。

<改正点3>特定居住用宅地等に該当する部分とそれ以外の部分がある場合は、部分ごとに軽減割合を計算

 例えば「自宅兼賃貸マンション」の敷地で、居住用部分と貸家部分と空家部分があるとします。改正前は、居住用部分が一部でもあれば、240㎡を上限として、全体に80%の軽減割合が適用されていました。しかし、改正後は用途ごとに適用要件を判定したうえで、建物の床面積割合で按分計算をして、居住用部分は80%、貸家部分は50%、空家部分は0%の軽減割合が適用されます(改正前措令40の2②後段()書部分の削除)。

以上をまとめると、平成22年4月1日以後の相続等について、

1.事業用の宅地等の場合
①相続人等が事業を継続する場合は、400㎡を上限として80%の評価減ができます。
②相続人等が事業を継続しない場合は、軽減措置の適用はありません。
③不動産貸付用の場合は、200㎡を上限として50%の評価減ができます。

(完)