大槻雅章税理士事務所

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№114 「不服申立て」と「不作為についての審査請求」

2018-08-19 | ブログ
2018.08.18 「不服申立て」と「不作為についての審査請求」

今回は課税処分、滞納処分等に対する「不服申立て」と申請等に対する「不作為についての審査請求」の違いについて解説します。

1.不服申立て

税務署長等が行った更正などの課税処分や差押えなどの滞納処分に不服があるときは、これらの処分を行った税務署長等に対して不服を申し立てることができます(№109に詳細)。

国税通則法は「国税に関する法律に基づく処分」が不服申立ての対象である旨を定めています(通則法第75条第1項)。

「国税に関する法律」とは、国税通則法、所得税法、法人税法、相続税法、酒税法、消費税法、国税徴収法、租税特別措置法等の、国税について課税標準、税率、納付すべき税額の確定、納付、徴収等の事項を規定する法律をいうと考えられています(通則法第2条第一号)。

「処分」とは、行政権の発動として、行政庁が行政法規を具体的に適用しまたは執行することによって、法律上の効果を発生させる行為をいい、不服申立ての対象とされる「処分」とは、更正、決定、再更正、賦課決定、滞納処分、税法上の各種申請の許否、青色申告の承認申請の取消し等があります。

不服申立てができるのは、国税に関する法律に基づく処分によって直接自己の権利または法律上の利益を侵害された本人だけです。

2.不作為についての審査請求

税務官庁の行う不作為については、すべて行政不服審査法の定めるところにより救済が図られています。

「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいいます(行服法第2条第2項)。

例えば、国税に関する法令に基づく申請をして、相当期間が経過したにもかかわらず課税庁からの応答がないなど「握りつぶし」が続いている状態をいいます。

ただし、申請があった後一定の期間内に承認又は却下の処分がなかったときに承認があったものとみなされる青色申告の承認の申請、棚卸資産の評価の方法の変更の承認申請等については、不作為の対象となりません。

国税に関する法令に基づく申請等に係る不作為については、不作為庁が税務署長又は国税局長であるときは行服法第4条第4号の規定により、不作為庁が国税庁長官であるときは同条第1号の規定により、それぞれ国税庁長官に対して審査請求をすることができます。

(完)