2021.05.02
基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間の消費税の納税義務が免除されます。
基準期間とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度のことをいいます。
それでは、個人事業者が新たに法人を設立して事業を承継した場合(いわゆる法人成り)の場合の納税義務はどうなるのでしょうか?今回は、法人成りの場合の納税義務について質問がありましたので解説したいと思います。
個人事業者がいわゆる法人成りにより新たに法人を設立した場合には、個人当時の課税売上高はその法人の基準期間の課税売上高に含まれません。
また、新たに設立された法人の設立1期目及び2期目については、基準期間がないので原則として納税義務が免除されますが、以下のような特例があります。
(1)基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である場合の納税義務は免除されません(消法9の2①)。
(2)「特定新規設立法人」に該当する場合の納税義務は免除されません。
特定新規設立法人とは、平成26年4月1日以後に設立した新規設立法人(資本金等が1,000万円未満の法人)のうち、次の①②のいずれにも該当する法人です(消令25の3)。
①その新規設立法人が他の者により株式総数の50%超支配されている場合
②上記①の「他の者」と「他の者の特殊関係法人」のいずれかの、基準期間相当の課税売上高が5億円を超えている場合
(3)特定期間(法人の事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間)における課税売上高又は給与等支払額の合計額が1,000万円を超えた場合、その課税期間から課税事業者となります(消法9の2①、③)。ただし、その事業年度の前事業年度が7月以下であるものその他の政令で定めるもの(短期事業年度という。)を除きます(消法9の2④二)。
(4)新たに事業を開始した事業者は、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署長に提出して、還付を受けるために課税事業者となることを選択できます。
ただし、原則として、課税選択によって納税義務者となった最初の課税期間を含めた2年間は免税事業者に戻ることはできません。また、免税事業者に戻る場合には、前課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。
(完)
基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間の消費税の納税義務が免除されます。
基準期間とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度のことをいいます。
それでは、個人事業者が新たに法人を設立して事業を承継した場合(いわゆる法人成り)の場合の納税義務はどうなるのでしょうか?今回は、法人成りの場合の納税義務について質問がありましたので解説したいと思います。
個人事業者がいわゆる法人成りにより新たに法人を設立した場合には、個人当時の課税売上高はその法人の基準期間の課税売上高に含まれません。
また、新たに設立された法人の設立1期目及び2期目については、基準期間がないので原則として納税義務が免除されますが、以下のような特例があります。
(1)基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である場合の納税義務は免除されません(消法9の2①)。
(2)「特定新規設立法人」に該当する場合の納税義務は免除されません。
特定新規設立法人とは、平成26年4月1日以後に設立した新規設立法人(資本金等が1,000万円未満の法人)のうち、次の①②のいずれにも該当する法人です(消令25の3)。
①その新規設立法人が他の者により株式総数の50%超支配されている場合
②上記①の「他の者」と「他の者の特殊関係法人」のいずれかの、基準期間相当の課税売上高が5億円を超えている場合
(3)特定期間(法人の事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間)における課税売上高又は給与等支払額の合計額が1,000万円を超えた場合、その課税期間から課税事業者となります(消法9の2①、③)。ただし、その事業年度の前事業年度が7月以下であるものその他の政令で定めるもの(短期事業年度という。)を除きます(消法9の2④二)。
(4)新たに事業を開始した事業者は、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署長に提出して、還付を受けるために課税事業者となることを選択できます。
ただし、原則として、課税選択によって納税義務者となった最初の課税期間を含めた2年間は免税事業者に戻ることはできません。また、免税事業者に戻る場合には、前課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。
(完)