2016.06.29 贈与税:消費税率10%の再延長の影響
消費税増税が及ぼす景気への影響を配慮して、政府は、消費税率を10%に引き上げるタイミングを平成29年4月1日から平成31年10月1日まで2年半再延長しました。
再延長前には、消費税増税に対応するために関連法の改正も予定されていましたが、再延長の決定に伴い、当該関連法の改正にも影響が出ることになりました。
今回は、その中でも質問の多い住宅取得等資金の贈与税の非課税枠について解説したいと思います。
平成28 年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、子や孫が自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額まで贈与税が非課税となります。
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度のポイントはNo52をご参照ください。
ただし、次の①②のように、消費税率により非課税限度額が相違することになりました。
①消費税率が10%以外の場合 ( )内の金額は家屋の種類が省エネ等住宅の場合
H 28. 1/1~H 29.9/30まで 700 万円、(1,200 万円)
H 29.10/1~H 30.9/30まで 500 万円、(1,000 万円)
H 30.10/1~H 31.6/30 まで300 万円、(800 万円)
②消費税率が 10%の場合 ( )内の金額は家屋の種類が省エネ等住宅の場合
H 28.10/1~H 29.9/30まで 2,500 万円、(3,000 万円)
H 29.10/1~H 30.9/30まで 1,000 万円、(1,500 万円)
H 30.10/1~H 31.6/30まで 700 万円、(1,200 万円)
上記のように、所費税率が10%になると住宅資金贈与の非課税限度額が大幅に増額されます。
このため、子や孫に住宅資金の贈与を考えている多くの人は贈与の時期を延期しそうです。
例えば、予定通り平成29年4月1日以降に消費税率が10%に引き上げられていた場合、原則として半年前の平成28年9月30日までに契約した請負契約については、引渡しが平成29年4月1日以降になった場合であっても旧税率の8%の適用が受けられるという経過措置がありました。
このケースでみると、平成28年9月30日までに請負契約を結び消費税率8%を確保したうえで、父母や祖父母から子や孫に住宅取得資金として平成28年10月1日以降に最大2,500万円までの非課税の金銭贈与を受けることができました。そして、これが住宅業界の営業ツールとされていました。
しかし、10%が再延長されたことにより非課税限度額が700万円に縮小されることになります。
最近、建設業や不動産業の顧問先の方から情報を収集しましたが、受注に大きな影響が出るだろうとのことでした。
住宅業界の景気の低迷は日本経済に大きな影響を与えます。非課税限度額の増額に関し再改正があるかも分からないので注意が必要です。
(完)
消費税増税が及ぼす景気への影響を配慮して、政府は、消費税率を10%に引き上げるタイミングを平成29年4月1日から平成31年10月1日まで2年半再延長しました。
再延長前には、消費税増税に対応するために関連法の改正も予定されていましたが、再延長の決定に伴い、当該関連法の改正にも影響が出ることになりました。
今回は、その中でも質問の多い住宅取得等資金の贈与税の非課税枠について解説したいと思います。
平成28 年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、子や孫が自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額まで贈与税が非課税となります。
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度のポイントはNo52をご参照ください。
ただし、次の①②のように、消費税率により非課税限度額が相違することになりました。
①消費税率が10%以外の場合 ( )内の金額は家屋の種類が省エネ等住宅の場合
H 28. 1/1~H 29.9/30まで 700 万円、(1,200 万円)
H 29.10/1~H 30.9/30まで 500 万円、(1,000 万円)
H 30.10/1~H 31.6/30 まで300 万円、(800 万円)
②消費税率が 10%の場合 ( )内の金額は家屋の種類が省エネ等住宅の場合
H 28.10/1~H 29.9/30まで 2,500 万円、(3,000 万円)
H 29.10/1~H 30.9/30まで 1,000 万円、(1,500 万円)
H 30.10/1~H 31.6/30まで 700 万円、(1,200 万円)
上記のように、所費税率が10%になると住宅資金贈与の非課税限度額が大幅に増額されます。
このため、子や孫に住宅資金の贈与を考えている多くの人は贈与の時期を延期しそうです。
例えば、予定通り平成29年4月1日以降に消費税率が10%に引き上げられていた場合、原則として半年前の平成28年9月30日までに契約した請負契約については、引渡しが平成29年4月1日以降になった場合であっても旧税率の8%の適用が受けられるという経過措置がありました。
このケースでみると、平成28年9月30日までに請負契約を結び消費税率8%を確保したうえで、父母や祖父母から子や孫に住宅取得資金として平成28年10月1日以降に最大2,500万円までの非課税の金銭贈与を受けることができました。そして、これが住宅業界の営業ツールとされていました。
しかし、10%が再延長されたことにより非課税限度額が700万円に縮小されることになります。
最近、建設業や不動産業の顧問先の方から情報を収集しましたが、受注に大きな影響が出るだろうとのことでした。
住宅業界の景気の低迷は日本経済に大きな影響を与えます。非課税限度額の増額に関し再改正があるかも分からないので注意が必要です。
(完)