2012.8.28 所得税:ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱い
平成24年6月27日付け東京高等裁判所の判決を受けて、国税庁は平成24年8月付けでゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いを変更しました。
そこで今回は、会社更生法等の更正手続きにより、預託金会員制ゴルフ会員権の預託金の全部が切り捨てられた場合における、譲渡所得の収入金額から控除する取得費の取扱いについて説明したいと思います。
1.平成24年8月前の取扱い
従来は、預託金会員制ゴルフ会員権を会社更生法又は民事再生法に基づく更生手続等により譲渡した場合の取得費は、次の①②のように取り扱われてきました。
①預託金の一部のみを切り捨てられた場合
切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額から減額(付け替え)しない。
②預託金の全額を切り捨てられた場合(プレー権のみのゴルフ会員権となった場合)
更生手続等により取得した優先的施設利用権(プレー権=入会金)のみのゴルフ会員権の時価相当額とする。
2.平成24年8月以降の取扱い
上記1②「プレー権のみのゴルフ会員権となった場合」の取扱いが次のように変更されました。
預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法等の適用により、預託金の全額を切り捨てられたことによりプレー権のみのゴルフ会員権となったときは、次の①②に掲げる場合には、当該譲渡による収入金額から控除する取得費については、更生手続等前の預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときの優先的施設利用権(プレー権=入会金)部分に相当する取得価額とします。
①当該更生計画等の内容から、優先的施設利用権(プレー権=入会金)が会員の選択等にかかわらず、当該更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること。
②当該更生手続等により優先的施設利用権(プレー権=入会金)のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと。
なお、具体的な計算例は国税庁HPをご参照ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/07/05.htm
3.所得税の還付手続
上記2の取扱いの変更は、過去に遡って適用することとし、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、納めすぎとなっている所得税が還付されます。ただし、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できません。
(完)
平成24年6月27日付け東京高等裁判所の判決を受けて、国税庁は平成24年8月付けでゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いを変更しました。
そこで今回は、会社更生法等の更正手続きにより、預託金会員制ゴルフ会員権の預託金の全部が切り捨てられた場合における、譲渡所得の収入金額から控除する取得費の取扱いについて説明したいと思います。
1.平成24年8月前の取扱い
従来は、預託金会員制ゴルフ会員権を会社更生法又は民事再生法に基づく更生手続等により譲渡した場合の取得費は、次の①②のように取り扱われてきました。
①預託金の一部のみを切り捨てられた場合
切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額から減額(付け替え)しない。
②預託金の全額を切り捨てられた場合(プレー権のみのゴルフ会員権となった場合)
更生手続等により取得した優先的施設利用権(プレー権=入会金)のみのゴルフ会員権の時価相当額とする。
2.平成24年8月以降の取扱い
上記1②「プレー権のみのゴルフ会員権となった場合」の取扱いが次のように変更されました。
預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法等の適用により、預託金の全額を切り捨てられたことによりプレー権のみのゴルフ会員権となったときは、次の①②に掲げる場合には、当該譲渡による収入金額から控除する取得費については、更生手続等前の預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときの優先的施設利用権(プレー権=入会金)部分に相当する取得価額とします。
①当該更生計画等の内容から、優先的施設利用権(プレー権=入会金)が会員の選択等にかかわらず、当該更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること。
②当該更生手続等により優先的施設利用権(プレー権=入会金)のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと。
なお、具体的な計算例は国税庁HPをご参照ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/07/05.htm
3.所得税の還付手続
上記2の取扱いの変更は、過去に遡って適用することとし、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、納めすぎとなっている所得税が還付されます。ただし、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できません。
(完)