2019.11.08
今回は、生前贈与で節税できる6つの方法をまとめました。一つひとつの詳細は、過去の記事で解説していますのでそれをご覧ください。
1.年間110万円の基礎控除を利用する方法
暦年課税の贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産価額の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
要するに年110万円以下の贈与を毎年繰り返すことにより被相続人の遺産総額を減らすという方法です。
※留意点
①贈与契約書を作成する
贈与は贈与者と受贈者の合意があることが重要です。これを第三者に証明できるように「贈与契約書」を作成します。
②贈与税の申告をして少額の贈与税を納付する
贈与をした証拠として、少額の贈与税を納めるのも一つの方法です。たとえば、111万円贈与して千円納税することにより贈与の実績を証明できます。
③贈与の記録を残しておく
贈与の事実を記録するために口座振り込みで贈与する。預金通帳を残しておけばお金の流れを証明できます。
④受贈者が財産を自由に扱える状態にしておく
親から子への贈与の際、子供名義の口座の通帳や印鑑を親が管理している場合や、実質的には子供が財産を自由に使えない場合は贈与とみなされません。
⑤一括の贈与にならないように気をつける
未成年の受贈者名義の預金口座を贈与者の親等が管理していた場合、結婚や成人の際に通帳や印鑑を渡す行為は一括贈与とみなされ、贈与税が課税されてしまいます。
2.居住用不動産を贈与したときの配偶者控除を利用する方法
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できます。
配偶者控除は基礎控除と同時に使うことができますので、合計2,110万円の贈与ができることになります。
ただし、配偶者控除の対象となる居住用不動産には一定の条件があります。
3.相続時精算課税制度を活用する方法
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫に対し、財産を贈与した際の特別控除を2,500万円の限度額に達するまで何度も非課税で贈与できる制度です。2,500万円を超える部分には一律で20%の贈与税が課税されます。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算することになります。
4.直系尊属から教育資金の一括贈与を受ける方法
平成25年4月1日から令和3年3月31日までの間に、直系尊属の父母や祖父母などから孫へなど、贈与を受ける相手の教育に充てる資金として、受贈者1人につき1,500万円までの贈与を非課税とする制度を利用する方法です。
直系尊属からの贈与に適用されますので、ひ孫でも玄孫でも構いませんし、孫やひ孫等の人数に制限はありません。
ただし、教育資金の非課税制度を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
・贈与を受けた側(受贈者)が30歳未満であること
・贈与をする側と信託会社の間で、教育資金管理契約を結んでいること
・受贈者の所得税の合計所得金額が1,000万円以下であること
5.直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受ける方法
平成27年4月1日から令和3年3月31日までの間に、直系尊属の父母や祖父母などから20歳以上50歳未満の受贈者の結婚・子育て資金に充てる資金として、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者1人につき1,000万円までの贈与を非課税とする制度を利用する方法です。
ただし、受贈者の所得税の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。
※結婚・子育て資金とは、次に掲げる金銭をいいます。
(1)結婚に際して支払う次のような金銭(300万円を限度とします。)をいいます。
①挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
②家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)
(2)妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。
①不妊治療・妊婦健診に要する費用
②分べん費等・産後ケアに要する費用
③子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など
6.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受ける方法
平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための住宅取得等資金を取得した直系卑属の受贈者は、一定の要件を満たすときに最高3,000万円(令和2年3月31日までに契約締結した省エネ等住宅の場合)までの金額について、贈与税が非課税となります。
(完)
今回は、生前贈与で節税できる6つの方法をまとめました。一つひとつの詳細は、過去の記事で解説していますのでそれをご覧ください。
1.年間110万円の基礎控除を利用する方法
暦年課税の贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産価額の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
要するに年110万円以下の贈与を毎年繰り返すことにより被相続人の遺産総額を減らすという方法です。
※留意点
①贈与契約書を作成する
贈与は贈与者と受贈者の合意があることが重要です。これを第三者に証明できるように「贈与契約書」を作成します。
②贈与税の申告をして少額の贈与税を納付する
贈与をした証拠として、少額の贈与税を納めるのも一つの方法です。たとえば、111万円贈与して千円納税することにより贈与の実績を証明できます。
③贈与の記録を残しておく
贈与の事実を記録するために口座振り込みで贈与する。預金通帳を残しておけばお金の流れを証明できます。
④受贈者が財産を自由に扱える状態にしておく
親から子への贈与の際、子供名義の口座の通帳や印鑑を親が管理している場合や、実質的には子供が財産を自由に使えない場合は贈与とみなされません。
⑤一括の贈与にならないように気をつける
未成年の受贈者名義の預金口座を贈与者の親等が管理していた場合、結婚や成人の際に通帳や印鑑を渡す行為は一括贈与とみなされ、贈与税が課税されてしまいます。
2.居住用不動産を贈与したときの配偶者控除を利用する方法
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できます。
配偶者控除は基礎控除と同時に使うことができますので、合計2,110万円の贈与ができることになります。
ただし、配偶者控除の対象となる居住用不動産には一定の条件があります。
3.相続時精算課税制度を活用する方法
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫に対し、財産を贈与した際の特別控除を2,500万円の限度額に達するまで何度も非課税で贈与できる制度です。2,500万円を超える部分には一律で20%の贈与税が課税されます。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算することになります。
4.直系尊属から教育資金の一括贈与を受ける方法
平成25年4月1日から令和3年3月31日までの間に、直系尊属の父母や祖父母などから孫へなど、贈与を受ける相手の教育に充てる資金として、受贈者1人につき1,500万円までの贈与を非課税とする制度を利用する方法です。
直系尊属からの贈与に適用されますので、ひ孫でも玄孫でも構いませんし、孫やひ孫等の人数に制限はありません。
ただし、教育資金の非課税制度を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
・贈与を受けた側(受贈者)が30歳未満であること
・贈与をする側と信託会社の間で、教育資金管理契約を結んでいること
・受贈者の所得税の合計所得金額が1,000万円以下であること
5.直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受ける方法
平成27年4月1日から令和3年3月31日までの間に、直系尊属の父母や祖父母などから20歳以上50歳未満の受贈者の結婚・子育て資金に充てる資金として、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者1人につき1,000万円までの贈与を非課税とする制度を利用する方法です。
ただし、受贈者の所得税の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。
※結婚・子育て資金とは、次に掲げる金銭をいいます。
(1)結婚に際して支払う次のような金銭(300万円を限度とします。)をいいます。
①挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
②家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)
(2)妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。
①不妊治療・妊婦健診に要する費用
②分べん費等・産後ケアに要する費用
③子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など
6.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受ける方法
平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための住宅取得等資金を取得した直系卑属の受贈者は、一定の要件を満たすときに最高3,000万円(令和2年3月31日までに契約締結した省エネ等住宅の場合)までの金額について、贈与税が非課税となります。
(完)