大槻雅章税理士事務所

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№99 優良住宅地等の造成等のために土地等を譲渡した場合の特例 

2017-04-02 | ブログ
2017.2.28 優良住宅地等の造成等のために土地等を譲渡した場合の特例

個人が土地等を優良住宅地の造成等のために譲渡した場合には、分離課税の長期譲渡所得に対する税率が軽減されるという特例があります。今回はこの特例について解説いたします。

(1) 特例の概要(措法31の2)

個人が平成28年12月31日までの間に所有期間5年超の土地等を譲渡した場合において、その譲渡が一定の優良住宅地の造成等のための譲渡に該当するときには、長期譲渡所得2,000万円以下の部分は税率が軽減され所得税10%+住民税4%=合計14%、2,000万円を超える部分の長期譲渡所得については、所得税15%+住民税5%=合計20%の税率が適用されます。

※建物の譲渡は特例の対象外となります。

つまり、長期譲渡所得金額2,000万円以下の部分に軽減税率の特例が認められることにより、最大で所得税が100万円、住民税が20万円の減税となります。

ただし、居住用財産の3,000万円特別控除、特定の事業用資産の買換え(交換)の特例、収用交換などにより資産を譲渡した場合の5,000万円の控除の特例、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円控除の特例等、他の特例との重複適用は認められません(措法31の2④)。

(2) 適用範囲(措法31の2②、③)

この特例は、譲渡の内容に応じて1号~16号までの区分があり、それぞれの区分ごとに適用要件や添付すべき証明書類が異なります(国税庁ホームページ参照)。

注意すべきことは、この特例を受けるためには、買い取りをする民間業者から所定の証明書類の交付を受け、それを確定申告書に添付して所轄の税務署に提出しなければならないことです。

すなわち、証明書類の内容については、買い取りをする民間業者が審査機関等に申請して交付を受けることになりますので、特例の適用を受けられるか否かは住宅等の開発業者次第ということになります。また、売買契約の時点では当該土地が優良住宅地として造成されるか分からない場合もあります。

そこで、売買契約書に特例条項を設け、買主が優良住宅地の造成等をするときは証明書類を売主に交付することを譲渡の条件として定め、証明書類を発行しなかった場合には、売主が軽減される税金相当額を買主が負担する旨を定めておく必要があります。

(完)