大槻雅章税理士事務所

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№124 自己利用のため自己制作したソフトウェア(会計処理編)

2019-07-20 | ブログ
2019.07.20

自社で利用するために自社で制作したソフトウェアは資産計上することになりますが、今回はその会計処理について解説します。税法上の取り扱いは次回に解説します。

資産計上することとなる自社利用のソフトウェアの取扱いに関し、その会計処理及び表示については、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針(平成23年3月29日、日本公認会計士協会、以下「実務指針」という。)に詳しく例示されています。以下に抜粋します。


実務指針11


自社利用のソフトウェアの資産計上の検討に際しては、そのソフトウェアの利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であることが認められるという要件が満たされているか否かを判断する必要がある。その結果、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合は無形固定資産に計上し、確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、費用処理する。

ソフトウェアが資産計上される場合の一般的な例を示すと以下①~③のとおりである。

①通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合

②自社で利用するためにソフトウェアを制作し、当初意図した使途に継続して利用することにより、当該ソフトウェアを利用する前と比較して会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると明確に認められる場合 (注)

(注)
例えば、当該ソフトウェアを利用することにより、利用する前に比し間接人員の削減による人件費の削減効果が確実に見込まれる場合、複数業務を統合するシステムを採用することにより入力業務等の効率化が図れる場合、従来なかったデータベース・ネットワークを構築することにより今後の業務を効率的又は効果的に行える場合等が考えられ、ソフトウェア制作の意思決定の段階から制作の意図・効果が明確になっている場合である。

③市場で販売しているソフトウェアを購入し、かつ、予定した使途に継続して利用することによって、会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合


実務指針12

自社利用のソフトウェアに係る資産計上の開始時点は、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況になった時点であり、そのことを立証できる証憑に基づいて決定する。そのような証憑としては、例えば、ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書又はソフトウェアの制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳等が考えられる。


実務指針13

自社利用のソフトウェアに係る資産計上の終了時点は、実質的にソフトウェアの制作作業が完了したと認められる状況になった時点であり、そのことを立証できる証憑に基づいて決定する。そのような証憑としては、例えば、ソフトウェア作業完了報告書、最終テスト報告書等が考えられる。


実務指針36

将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる具体的な態様は様々であると考えられ、自社利用のソフトウェアの資産計上要件を包括的に掲げることは困難との考えから、ソフトウェアが資産計上される場合の一般的な例を示すこととした。


実務指針37

資産計上を終了する時点の取扱いについては、メンテナンス作業へ切替わった時点とすることも検討したが、終了時点を明確に特定するには不十分であり、資産計上の終了時点の決定に際しては、具体的な証憑に基づいて判断すべきことを明らかにした。

なお、制作段階により区分する方法は、ソフトウェア制作には多様な制作実態が存在し、それらを明確に区分することは困難であり、結果として実態に合致しなくなると考えられるため、採用していない。


(完)