2012.04.22 税制改正:平成24年度税制改正
平成23年12月10日に閣議決定された平成24年度の税制改正法案は、平成24年1月に国会に提出され、3月30日に成立しました。ただし、3月30日には別の法案として「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」が提出されています。したがって平成24年度の税制改正は、1.成立した改正点と、2.これから審議する改正案に区別して整理する必要があります。
1.成立した主な改正点
(1)所得税
・給与所得控除に上限を設定(給与収入1,500万円超は一律245万円)。H25年分から適用
・特定支出控除の範囲を拡大し、給与所得者の実額控除を拡大。H25年分から適用。
・勤続年数5年以下の法人役員等の退職金は、2分の1課税を廃止。H25年分から適用
(2)相続税・贈与税
・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を拡充・延長。H24.1.1から適用
・山林に係る相続税の納税猶予制度を創設。H24.4.1以後に発生する相続から適用
・相続税の連帯納付義務を緩和。H24.4.1以後に申告期限が到来する相続税から適用
(3)法人税
・研究開発税制の上乗せ特例措置の適用期限を2年延長。
・太陽光パネルや風力発電設備に係る即時償却制度を創設。
・海外投資等損失準備金制度を2年延長。
・中小企業投資促進税制の対象資産に試験機器等を追加し、適用期限を2年延長。
・福島復興再生特別措置法(仮称)の制定に伴う税制上の措置を講じる。
・復興特区税制の特例措置を講ずる
・避難解除区域において被災者を雇用した場合の税額控除制度等の創設。
・いわゆるトン数標準税制つき、平成25年度税制改正において拡充。
(4)国際課税
・5,000万円を超える国外財産を保有する個人に対し調書の提出を求める制度を創設。
(H25年以降、毎年12月31日に所有する国外財産の調書を翌年3月15日までに提出)
2.これから審議される主な改正案(現時点ではどうなるか分からない)
(1)消費税法
①平成26年4月1日施行
・消費税率を地方消費税と合わせて8%に引上げ。
・消費税の使途の明確化(地方交付税、年金・医療・介護の社会保障に充てる)
・課税の適正化(事業者免税点制度の見直し、中間申告制度の見直し)
②平成27年10月1日施行
・消費税率を地方消費税と合わせて10%に引上げ
(2)所得税法
・所得税の最高税率の引上げ(課税所得5,000万円超について45%)
(注)平成27年分以後の所得税について適用
(3)相続税法
・相続税の基礎控除の引下げ
(「5千万円+1千万円×法定相続人数」⇒「3千万円+6百万円×法定相続人数」)
・相続税の税率構造の見直し(最高税率を50%⇒55%に引上げ)
相続時精算課税制度に係る贈与者の年齢引下げ(65歳⇒60歳)
(注)平成27年1月1日以後に取得する財産に係る相続税、贈与税について適用
(4)租税特別措置法
・直系卑属(20歳以上)を受贈者とする場合の贈与税の税率構造の緩和
・相続時精算課税制度に係る受贈者の対象拡大(20歳以上の孫を追加)
(注)平成27年1月1日以後に取得する財産に係る贈与税について適用
(完)
平成23年12月10日に閣議決定された平成24年度の税制改正法案は、平成24年1月に国会に提出され、3月30日に成立しました。ただし、3月30日には別の法案として「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」が提出されています。したがって平成24年度の税制改正は、1.成立した改正点と、2.これから審議する改正案に区別して整理する必要があります。
1.成立した主な改正点
(1)所得税
・給与所得控除に上限を設定(給与収入1,500万円超は一律245万円)。H25年分から適用
・特定支出控除の範囲を拡大し、給与所得者の実額控除を拡大。H25年分から適用。
・勤続年数5年以下の法人役員等の退職金は、2分の1課税を廃止。H25年分から適用
(2)相続税・贈与税
・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を拡充・延長。H24.1.1から適用
・山林に係る相続税の納税猶予制度を創設。H24.4.1以後に発生する相続から適用
・相続税の連帯納付義務を緩和。H24.4.1以後に申告期限が到来する相続税から適用
(3)法人税
・研究開発税制の上乗せ特例措置の適用期限を2年延長。
・太陽光パネルや風力発電設備に係る即時償却制度を創設。
・海外投資等損失準備金制度を2年延長。
・中小企業投資促進税制の対象資産に試験機器等を追加し、適用期限を2年延長。
・福島復興再生特別措置法(仮称)の制定に伴う税制上の措置を講じる。
・復興特区税制の特例措置を講ずる
・避難解除区域において被災者を雇用した場合の税額控除制度等の創設。
・いわゆるトン数標準税制つき、平成25年度税制改正において拡充。
(4)国際課税
・5,000万円を超える国外財産を保有する個人に対し調書の提出を求める制度を創設。
(H25年以降、毎年12月31日に所有する国外財産の調書を翌年3月15日までに提出)
2.これから審議される主な改正案(現時点ではどうなるか分からない)
(1)消費税法
①平成26年4月1日施行
・消費税率を地方消費税と合わせて8%に引上げ。
・消費税の使途の明確化(地方交付税、年金・医療・介護の社会保障に充てる)
・課税の適正化(事業者免税点制度の見直し、中間申告制度の見直し)
②平成27年10月1日施行
・消費税率を地方消費税と合わせて10%に引上げ
(2)所得税法
・所得税の最高税率の引上げ(課税所得5,000万円超について45%)
(注)平成27年分以後の所得税について適用
(3)相続税法
・相続税の基礎控除の引下げ
(「5千万円+1千万円×法定相続人数」⇒「3千万円+6百万円×法定相続人数」)
・相続税の税率構造の見直し(最高税率を50%⇒55%に引上げ)
相続時精算課税制度に係る贈与者の年齢引下げ(65歳⇒60歳)
(注)平成27年1月1日以後に取得する財産に係る相続税、贈与税について適用
(4)租税特別措置法
・直系卑属(20歳以上)を受贈者とする場合の贈与税の税率構造の緩和
・相続時精算課税制度に係る受贈者の対象拡大(20歳以上の孫を追加)
(注)平成27年1月1日以後に取得する財産に係る贈与税について適用
(完)