大槻雅章税理士事務所

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№96 相続税:小規模宅地等の特例

2016-12-31 | ブログ
2016.11.27 相続税:小規模宅地等の特例

今回は、小規模宅地等の特例について解説します。

小規模宅地等の特例とは、相続財産としての宅地(居住用・事業用)について、要件を満たした場合には、その宅地の評価額を最大80%減額できるという特例です。(税制改正により平成27年1月1日以降、内容が一部改正されました。 → それ以前の規定は№23 参照。)

Ⅰ.特例を受けるための要件

特例を受けるためには、次の(1)(2)の要件を満たさなければなりません。

(1)相続前の要件

相続開始直前に、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が居住用、又は事業用(不動産賃貸事業や特定同族会社の事業)の建物又は構築物の敷地として利用していた場合に限り適用を受けられます。

ただし、相続開始直前に被相続人と同居していた法定相続人がいない場合には、相続開始前3年以内に日本国内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがない人は、申告期限まで所有していれば適用を受けられます。

(2)相続後の要件

相続税の申告期限(原則として相続後10ヶ月)までの間、宅地の取得者がその宅地を継続して利用している必要があります。



Ⅱ.限度面積と減額割合


対象となる宅地等は、下記①~③の用途に応じて、限度面積と減額割合が異なります。

①居住用宅地の場合:限度面積:330㎡ → 減額割合:80%

②貸付事業用宅地の場合:限度面積:200㎡ → 減額割合:50%

③特定同族会社事業用宅地の場合:限度面積:400㎡ → 減額割合:80%

国税庁ホームページに詳細


Ⅲ.同意書の提出

以上Ⅰ、Ⅱのように、小規模宅地等の特例は要件と限度面積が定められているので、特例の対象となりうる宅地が複数ある場合は、適用できる宅地、できない宅地がでてきます。

また、小規模宅地等の特例は選択適用となるので、どの宅地にどの特例を選択すれば全体の相続税額が最も少なるかシミュレーションする必要があります。

最も有利な選択をすれば相続税の総額は少なくなりますが、適用を受けられなっかた相続人は適用を受けた相続人よりも負担すべき納税額が多額になります。

そこで、相続税の申告の際には、同意を証する書類(相続税申告書第11・11の2表の付表1)の提出が要件となっています。

この同意書には、特例を使わない相続人の氏名も含めて、小規模宅地等の特例の対象となりうる土地を相続したすべての相続人の氏名を記述する必要があります。

この手続きは、特例を使える可能性のある全ての相続人が納得したことを意思表示するためです。

(完)