2012.12.28 社会保障と税の一体改革-まとめ-
前回、前々回と社会保障制度改革国民会議の審議について説明しました。今回は、社会保障給付を賄うために消費税を増税してもあまり意味がないことを述べたいと思います。私は、以下の理由で消費税の社会保障目的税化に反対する立場です。
理由1.消費税を社会保障目的税化しても現状を変えることはできない
今の日本の社会保障制度の下では、消費税収が増えれば社会保障財源を確保できるという財政状況ではありません。現状は、年間の社会保障給付額は2009年度にほぼ100兆円に達し、2010年度予算ベースで106兆円、2011年度予算ベースで108兆円と増加しています(内、約半分が高齢者への年金給付)。ところが、消費税の税収は地方消費税も含め約13兆円(平成24年度予算)程度に過ぎません。よって、社会保障給付額が消費税収よりも遥かに大きいというのが現状なのです。
理由2.社会保障給付費の急激な増加に消費税率の引き上げだけでは対処できない
1960年代までは約5%であった社会保障給付費の対国民所得比率が急激に増大し続け、1990年代初頭の15%以下の水準から、2010年度には30%に達しています。
高齢化の進展に伴って社会保障給付費の国民所得に占める割合はどんどん上昇しているのです。2010年度の国民所得約350兆円に対して社会保障給費の総額は約106兆円ですから、対国民所得比30%に達しています。
消費税率の1%引上げで2.5兆円の増収があるとしてもこれは2010年度の国民所得約350兆円に対して0.7%に過ぎません。したがって、たとえ消費税率を15%まで引き上げることができたとしても、対国民所得比で7%分の社会保障給付費の増加にしか対応できないことになるわけです。
ではどうすればよいのか?
消費税を社会保障目的税にするということは、社会保障給付費の増加に伴い消費税の税率が際限なくUPするという問題が生じるのです。そこで、社会保障給付費の抑制と同時に、社会保障財源の全てを消費税とするのではなく、国民の保険料負担を併用したバランスのとれた財源とすべきであると思います。
(完)
前回、前々回と社会保障制度改革国民会議の審議について説明しました。今回は、社会保障給付を賄うために消費税を増税してもあまり意味がないことを述べたいと思います。私は、以下の理由で消費税の社会保障目的税化に反対する立場です。
理由1.消費税を社会保障目的税化しても現状を変えることはできない
今の日本の社会保障制度の下では、消費税収が増えれば社会保障財源を確保できるという財政状況ではありません。現状は、年間の社会保障給付額は2009年度にほぼ100兆円に達し、2010年度予算ベースで106兆円、2011年度予算ベースで108兆円と増加しています(内、約半分が高齢者への年金給付)。ところが、消費税の税収は地方消費税も含め約13兆円(平成24年度予算)程度に過ぎません。よって、社会保障給付額が消費税収よりも遥かに大きいというのが現状なのです。
理由2.社会保障給付費の急激な増加に消費税率の引き上げだけでは対処できない
1960年代までは約5%であった社会保障給付費の対国民所得比率が急激に増大し続け、1990年代初頭の15%以下の水準から、2010年度には30%に達しています。
高齢化の進展に伴って社会保障給付費の国民所得に占める割合はどんどん上昇しているのです。2010年度の国民所得約350兆円に対して社会保障給費の総額は約106兆円ですから、対国民所得比30%に達しています。
消費税率の1%引上げで2.5兆円の増収があるとしてもこれは2010年度の国民所得約350兆円に対して0.7%に過ぎません。したがって、たとえ消費税率を15%まで引き上げることができたとしても、対国民所得比で7%分の社会保障給付費の増加にしか対応できないことになるわけです。
ではどうすればよいのか?
消費税を社会保障目的税にするということは、社会保障給付費の増加に伴い消費税の税率が際限なくUPするという問題が生じるのです。そこで、社会保障給付費の抑制と同時に、社会保障財源の全てを消費税とするのではなく、国民の保険料負担を併用したバランスのとれた財源とすべきであると思います。
(完)