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『憲法考 第14回 第3章  国民の権利及び義務(その7)』

2008-04-28 22:31:56 | 憲法考

14法の下の平等、貴族制度の否認、栄典の限界
 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種信条性別社会的身分又は門地により、政治的経済的又は社会的関係において、差別されない。
 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受けるものの一代に限り、その効力を有する。

1. 平等の意味

 此の条項での平等は國民間での平等であり、日本に永住していても國民ではなく外国籍であれば、適用されるものではないのだ。

1)法定立の平等

イ.法定立の平等(立法者拘束説)

 立法府の制定した法律を前提にして、其の適用についてだけ平等であれば良いとする

ロ.法適用の平等(立法者非拘束説)

 法の内容そのものが不平等なものであるならば、法の適用について平等を保障しても殆ど意味が無い。

 現在では、「法の下の平等」は、法の内容の平等をも要請していると解されている。

2)相対的平等か絶対的平等か

 此の区別的論議をするには、条文から離れた議論は意味をなさない。つまり、憲法14項に書かれた人種信条性別社会的身分又は門地や、政治的経済的又は社会的関係の語句の意味を捉えずに、或いは、これらの語句がただ代表して列挙されたものだとの説もあるが、そう考えたとしても、例えば、「社会的関係」で差別されないと書かれていることを取り上げれば、人間は「社会的関係」の中で暮らしているものであり、また、差別や不平等は、此の「社会的関係」の中で行われるものであることからすれば、政治的経済的場面で生ずる差別や不平等も、当然、此の「社会的関係」の中での差別や不平等に包容されるのだ。そう考えれば、憲法第14条第項の条文は二重に念を押すように言葉を重ねた悪文だと私は考える。

 結果として、憲法第14条第項の差別の対象として書かれた語句の意味を、前段の人種信条性別社会的身分又は門地などの語句の意味は別として、後段の政治的経済的又は社会的関係の語句の意味、加えて、これらの語句が並列が、例示か列挙かを詳しく検討する事は無意味と考えるのだ。つまり、此の条項で「社会的関係」での差別や不平等が許され無いよと言っている以上、國民が「生きている上での差別や不平等は許され無いよ」と言っていると解釈するのが正しいのだ。

3)第14条の差別禁止事項は例示列挙か制限列挙か

 問題は、2)での説明を受けて検討されるべきは、「人種信条性別社会的身分又は門地により、」と言う文言が例示列挙制限列挙かと言う事を残すばかりとなったのだ。先にも述べたが、憲法解釈に限らず、法律の解釈を行う場合、条文に書かれた文言に忠実に解釈を行われなければなら無いと言う立場を採る私としては、例えば、此の部分が「人種信条性別社会的身分又は門地『等』により、」と言うように『等』の一字が入って無い以上、此の部分も例示列挙となすことは否定されよう。また、そのように考えても実際の適用の上で実質何ら支障は無いとも考えるのだ。


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