魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

◆◆【我「老子」の私見を綴る】◆◆謙徳第六十一

2012-06-14 23:31:39 | 学問

謙徳第六十一

大國者下流。天下之交、天下之牝。牝常以靜勝牡。以靜爲下。故大國以下小國、則取小國。小國以下大國、則取大國。故或下以取、或下而取。大國不過欲兼畜人、小國不過欲入事人。夫兩者各得其所欲。大者宜爲下。

大国は下流なり。天下の交なり。天下の牝なり。牝は常に静をもって牡に勝つ。静をもって下となればなり。故に大国もって小国に下れば、すなわち小国を取る。小国もって大国に下れば、すなわち大国に取らる。故にあるいは下りてもって取り、あるいは下りて取らる。大国は人を兼ね畜わんと欲するに過ぎず、小国は入り

て人に事えんと欲するに過ぎず。それ両者はおのおのその欲するところを得。大なる者はよろしく下となすべし。

 そもそも大国は、小国を支流とすれば、それ等が自然に下流に集まって大海に流れ込むような道理に従って成立したものである。よって、世の中は総て繋がりがあるのであり、総てを包み込む母のような優しさで治めるべきなのである。母は事を荒げること無き優しさで男の荒々しさに勝るものである。従って大国が小国に対して理を以って穏やかに諭せば小国は大国に従うものであり、逆に小国が大国に対して無闇に反発せず素直に恭順の態度で臨めば大国は小国を受容れるものである。このことから言えることは、大国が偉容を誇らず害意を感じさせなければ小国は大国を頼ることになるもので、小国が無意味に大国を恐れずに恭順の意を顕せば大国は此れを受容れ易くなるのである。大国は小国を恣意的に帰順させようなどと思ってはならず、小国は大国に受容れさそうと無理な画策をしてはならないのであり、両者が互いに努力を惜しむこと無く尊重し合った上で折り合いを付けるべきであるが、頃合を見て大国が小国を立て乍受容れるのが最善とする。


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