経営法務研究室2023

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賃料滞納ある場合の明渡請求と強制執行

2012-04-22 | その他

 
 賃貸物件を持っている方は、経験があるかもしれませんが、賃料滞納している賃借人に対して、賃貸借契約の解除、明渡請求をすることになります。


 取扱い物件が賃料が1か月あたり100万円とか何百万円というケースでれば法的手続に躊躇はあまりないですが、家賃が比較的低額である場合(数万円から10万円程度)、実は、手続をすることになると、かなり費用がかかるため、対応に困ることが良くあります。

 とりわけ、強制執行の場合、執行補助をおこなっている業者に依頼をする必要があり、明渡の規模にもよりますが、20万から50万円ぐらいは、強制執行の費用が発生するのです。

 そのほかに、弁護士費用が必要なので、相応の金額にのぼります。

 悪質な賃借人などは、裁判中にほかの人に貸してしまったりするので、占有移転禁止の仮処分という保全手続きを行う場合もあり、その費用も発生することもあります。


 なので、普段家賃収入がきちんと入っていても、ひとたび賃料滞納明渡の件が発生してしまうと、収支にみあわない状況になってしまうのです。

 

 ですから、不動産賃貸業の方は、いかに、賃料滞納者を生じさせないかという点が非常に重要です。


 まず① 賃借人の社会的地位、職業、収入、属性(借金をするような人、まじめな方か等等)を考慮し、適切な方かどうかをあらかじめ判断をしたり、

   ② 保証人をきちんとつけてもらう

 との対応は大前提として、

 仮に、賃料滞納が生じたら、家賃の支払いもなあなあにならないために、普段から滞納があった場合

   ③ 明確に、警告書や注意書を出して、賃借人に意識をさせるようにする

 ことが重要です。

 角がたつような場合には、緒対応については、賃借人に顧問弁護士か管理会社の方針によっているのでということで、フォローをするなどの対応もありますが、このあたりこそ厳しく対応しないとなかなか賃貸業をうまくやっていくのには、難しいところもございますので、ここはしっかりとけじめとして滞納賃借人には毅然とした対応が必要です。



  あとは、最近、強制的に立ち入って、荷物は、保管場所へ移動してしまうことに承諾させるような条項をあらかじめ契約書に入れているケースがあるので、そうした条項をれておくというのも、一応の手段となりうるところです。ただ、注意しないといけないのは、そうした条項があるからといって、当然に立ち入ることが適法かというとそうでないというところがあります。
 まだそうした裁判例はないようですが(探しています。)、自力救済が禁止されている以上、裁判手続きによる強制執行が原則で、条項があるからといってそれができるわけではなく、あくまでもやむを得ないという状況が整っていて、そうした条項にあらかじめ賃借人も承諾をしていたことなどが明らかになっていないと厳しいと思います。

 明渡については、管理会社が強制的に行って問題となっているケースは結構ありますが、実は、費用面の問題があるので、そうしたことからすると、管理会社にやってもらうというオーナーの気持ちもわかります。

 
 以上のようなことですので、劇的な解決方法はなく、事前の予防に力を入れ、滞納が生じても、ひどくならないうちに早めに手を打つということが重要となりますね。






       

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