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GDPの内訳
輸出入を除くGDPは主要には家計部門、企業部門、政府(一般政府)部門に分けられる。この三部門と消費、投資、貯蓄の関係は以下のようになっている。
ケインズは「当期の投資とは、当期の生産活動の結果として資本装備価値へ期間中に付加された額のことだ」と定義している。多くの人に異論はあるまい。資本装備価値というのは設備の現在価値のことだと、ここでは考えてもらっていい。
投資の定義がこのようなものであれば家計部門が投資をしないのは分かるとして、企業も社用車のガソリンを買い、文房具も買う、これは消費ではないのか?と思われるかもしれない。個別の企業にとってはこれは消費だと言ってもいいかもしない。
しかしここで検討しているのは企業「部門」であり一国の企業の勘定をすべて足し合わせたものだ。ガソリンも文房具も他の企業から購入し、その購入先企業もまた他の企業から様々なものを購入している。このように相殺していくと企業部門には投資しか残らないということだ。
これを現実の用語に合わせると原材料仕入額は直接に即座に売り上げに転化されるのに対して、設備投資は時間をかけて間接的に転化されるという違いだ。だから一国全体の付加価値(GDP)を計算するときには企業部門は投資しかカウントされない。
ここで政府部門はいったん脇に置いておく。
貯蓄とは?
貯蓄とは収入から支出を引いた残りのことだ。支出は消費と投資に分けることができる。
だから 収入-支出=貯蓄 支出=消費+投資 ということになる。
ところで企業会計の今期の収入(売上)は全て誰かのあるいは他企業の支出から成り立っている。これは企業に限らず家計も収入の基になるのは誰かの支出である。その意味で収入=支出となるが、収入と支出が同額では収入-支出=ゼロとなり貯蓄ゼロの世界となってしまう。
なぜこのようなことになるのか?
もう一度考えてみよう。なぜこんなことになったかと言うと、これは時間の経過を考えなかったからである。時間の経過を考えることを期間分析と言う。小難しい言い方を好む人は動学的分析などと言う。
期間分析の期間は生産開始を決めた時点から売上として現金が入ってくるまでを考えてもいいし前期・今期・来期としてもいい。経済の仮定は無数の取引、現金のやり取り、生産期間等、長短取り交ぜて様々な時間の経過を伴いながら進んでいく。この時間の経過を考えようということだ。
とりあえず、前期と今期について経済全体、政府部門を除く家計部門と企業部門で考えてみよう。
以下次回・・・・