よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

日本の貧困 1 日本は男女不平等の国 年収の男女格差

2024年09月04日 | 先進国の経済学
  


 上図は年収を100万円と500万円で刻み、そこに何人いるかを表したものだ。元データは国税庁の「民間給与実態統計」である。国税庁は源泉徴収というシステムによって雇用者の賃金を全て把握している。抽出調査だが500人以上の事業所については全数調査である。ここで言う雇用者は一年以上勤務した者となっている。つまり雇用者の年収という意味ではこれ以上の統計はない。

 この図を見てしみじみと感じるのは・・・

 日本は男女不平等の国だということである。このような不平等は、いかなる理屈をもっても合理化・正当化できるものではない。

 日本では、人は生まれたときから家庭、学校、社会、会社で男女不平等の空気を吸って成長し、人生を送り次の世代へと継承していく。

 この男女不平等の核心的な価値観は「男性生計中心者-専業主婦モデル」を規範としていることだ。「この価値観」は男女の所得格差を是とし、それを打破しようとする人間を文化的に弾劾社会制度上排除する。弾劾と排除という排斥によって女性も男性も「この価値観」の下で生きることを強いられ、継続しているという理由だけで(「昔からそうだった」「日本古来の伝統」)継続している。「この価値観」のもとでしかこのような男女不平等は生きながらえることはできないのである。

 日本国憲法第24条第一項には、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定されている。筆者は、婚姻は両性(当事者間)の自由意志のもとに置かれるべきだと考えるが、そのためには両性が互いに自立していることが必要であり、人格的な自立の前提は経済的自立であると考える。この経済的自立は単に稼得所得のことだけではなく「専業主婦」の無償労働の正当な評価を含む。

 「この価値観」は女性が自立して生きる上での最大の壁となっている。それは同時に結婚への壁となっている。

 さらに問題なのは、「この価値観」が価値観としてとっくに崩壊しており、現実にも成立する余地がない。にもかかわらず支配的な価値観となっているということだ。

次回は、日本人の年収から「この価値観」の前提を探る

文化的弾劾:選挙で自立した女性が受けるバッシングを見ても明らかだろう

社会制度上の排除:税と社会保障制度から企業の人事制度まで、教育制度も含めて「この価値観」が前提となっている

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