エゾニワトコは、せいぜい15尺くらいにしかならない小木で、道東の原野にはどこにでも生育している。この木の古株は、往々にして根際に洞ができたり、幹の各所に瘤ができたりするので、木工細工物に適している。
私の父は、現役で働いていたとき、道東一円に盛名を馳せた伐木の名手で、高価な巨木の伐採に、ときには指名がかかったものである。六十五歳で引退後は、蒐集してあった瘤幹・曲のある根株などで細工物を作って楽しんでいた。
エゾニワトコの癖木は、数年間、谷地の泥の中に埋め樹皮を腐らせ、さらに数年自然乾燥させてから細工を施した。写真上段右のエゾニワトコは、現在、わが家の玄関ホールに置いてあるが、これほどの逸品は容易に入手できないだろう。父の自慢の作品である。
このほかに、床脇の違い棚にある、直径五寸・高さ六寸五分、斜めに捻れたコクワの蔓の置物も見応えがある。
私の場合は、この木は食用としてのイメージが強い。写真上段左のような新葉を天麩羅にする。春一番のイラクサ・行者ニンニク・フキノトウ・ニワトコの新葉の天麩羅には格別な味わいがある。
最近の「自 然」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事