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受動喫煙をなくす進言、提言、提案、要請作戦進行中…

🚭第三次健康日本21の基本的な方針(案)への意見【5】 ⇒ FCTCに沿い、喫煙者への可能な限りの禁煙支援推進を

2023-04-18 22:12:39 | タバコフリー社会に向けての報道やネット情報
 タバコは疾病・早期死亡を引き起こし、健康寿命を損なっているのですから、本基本的な方針のメインである「健康寿命の延伸」のためには、とりわけ喫煙率をゼロに近づけていく施策が極めて重要です(後半にエビデンスを補足)
 これまで4項目を提案し、FCTCに沿って日本政府として府省庁を超えて調整した諸施策の実行が必須とされるところですが、厚労省所管の施策の範囲内ででも、全ての喫煙者にタバコを止めていただくための方策の方向について、以下いくつか提案をさせていただきます。

(1)禁煙治療の実効性を上げるために
・禁煙治療の保険適用の要件緩和(入院中も可とする、12週以上の治療期間の延長、一年以内での再治療を可とする、CO測定の必須要件をなくす、など)

・禁煙治療の保険適用を歯周病など歯科疾患にも広げる(中医協での承認が必要ですが)

・職域および保険組合(健保、共済、国保、その他)での禁煙治療の奨励・推進。国家公務員・地方公務員共済、議員や国保などは厚労省として推進しやすいのではないでしょうか。

・禁煙治療における認知行動療法などの研修(禁煙治療実施機関の担当スタッフを対象に)を都道府県などで実施する(奨励し、補助予算を計上する)。
(治療薬のチャンピックスの欠品で禁煙外来を休止している施設が少なくないようなので、禁煙パッチ治療などに加え、認知行動療法での禁煙治療は有効性が高いと報告されている)

・喫煙者(家族と同居する喫煙者を含め)の禁煙のための禁煙外来治療費助成の自治体が増えてきているところですが、これを推奨し、都道府県を通して地方交付税等で助成する。参考:喫煙者の禁煙のための禁煙外来治療費助成の自治体

・自治体で、直接禁煙支援を実施しているところも広がっているようで、この推奨も可能ではないでしょうか?

・禁煙支援薬局が各地の薬剤師会他の協力で増えてきているところで、禁煙支援歯科医院も同様のようですので、これらの広報と連携推進もよろしくお願いします。

(2)遠隔禁煙治療施設は、その割合は今のところ禁煙治療施設の約9%です。この遠隔禁煙治療施設は、北海道厚生局、関東信越厚生局、近畿厚生局以外の地方厚生局では公開データの備考欄に「厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療を行う体制を有する」と明記されていますが、前記の3つの厚生局には明記されておらず(本会は何度も明記を要請しましたが明記されないまま)、早急に明記し、禁煙治療受診希望者の便益性を向上させるべきではないでしょうか。 

(3)禁煙治療の受診者数を増やし、喫煙者の禁煙を促進するためにも、禁煙治療の受診者数の数値目標を都道府県や市町村などで設けることを推奨してはどうでしょうか。

(4)禁煙治療薬を増やす(バレニクリンが現在出荷停止で、禁煙外来施設の休止が少なくない現状があるので:中医協での審議要でしょうが)

(5)40歳~74歳対象の特定健康診査・特定保健指導の他、40歳未満の職域・大学・市民などでの健康診断に「喫煙」設問と禁煙助言、動機付け、禁煙治療施設への紹介などをリンクさせてはどうでしょうか。

(6)手術では禁煙が必須となってきている麻酔ガイドラインの周知、またこれは禁煙の動機付けにも有効かと思われます。

(7)上記を含め、医療組織・従事者・行政・保険組合・健康経営推進企業をはじめ健康づくりに関係するさまざまな全ての分野との協力・連携を広げ、喫煙率のゼロ目標へ向けた国と地方の支援策と支援環境を整備していくのは可能かと思われます。

(8)そして何よりも有効なのは「禁煙場所の拡大と徹底(受動喫煙ゼロへ向けた対策強化)」です。
 国民の健康づくりのタバコ対策のためには、本計画の資料 2 の37ページでも触れられているように、「当面及び将来の健康影響や経済損失を回避するために、また FCTC(タバコ対策枠組条約)の締約国としての国際的責務を果たすために、たばこ対策の着実な実行が必要である。」による”着実な実行が必要”の中でもとりわけ、喫煙率のゼロ目標のための「喫煙者への可能な限りの禁煙支援推進」とそれに密接にリンクした受動喫煙ゼロ目標のための「禁煙空間の可能な限りの拡大徹底」に尽きるかと思われます。

タバコは疾病と早期死亡を引き起こし、健康寿命を損なっている のエビデンス
以下、本「基本的な方針(案)」のメインである「健康寿命の延伸」のためには、とりわけ喫煙率をゼロに近づけていく施策が極めて重要な所以です

1.タバコを吸うと、寿命が10年縮むという英国でのDollらの有名なデータがあり、我が国でも、男性で8年、女性で10年寿命が短くなるというデータが発表されている。 

2.当然に、健康でいられる期間(健康寿命、平均自立期間 )も短くなりタバコの喫煙率が高い都道府県ほど、概ね平均寿命と健康寿命が短く、死亡率が高いことも分かっている。

          

3.都道府県別の平均寿命と健康寿命のデータ例(いずれも喫煙率の低く、長年にわたりタバコ対策に取りくんできている府県の健康寿命が長い結果となっている) 

・平均寿命、女性1位は岡山88.29歳 男性は滋賀 https://notobacco.jp/pslaw/nikkei221223.html

・国の100年統計で判明「穴場長寿県は滋賀、京都、奈良、岡山…」一方、短命の東北・北関東の県名とは https://president.jp/articles/-/65242

・滋賀県男性平均寿命日本一と男性喫煙率最低値との報を受けての一考察 http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/journal/gakkaisi_180906_33.pdf 

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パブコメの結果が公表されました。(2023/5/31)
 ・国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針の全部を改正する件(案)に関する意見募集の結果について
 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000254259

【関連】厚労省:「健康日本 21(第三次)」を推進する上での基本方針を公表します
     https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33414.html
 【資料1】国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針の全部を改正する件
     https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001102267.pdf
 【資料2】参考資料 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001102264.pdf