病気は、その症状だけで耐え難い苦しみを与えてくれます。
不自由な体、もたつく頭に、舌。
伝えなければいけないことは膨大なのに、うまく言葉にできず、うまく声を操ることができず、本当に苦労しました。
自分の状態を受け入れることは、結局できなかったと思います。
それはなぜなのかを考えたのですが、もちろん理由はいくつもあると思います。
人間誰しもそういう感情に流されることはあると思いますし。
いくつも浮かぶ中で、一番大きな理由は「這い上がろうとしていたから」というものです。
私は今の状態を受け入れないんだ、絶対にもっと良くなってやるという意志が、その状況を受け入れることを拒んだのだろうと考えています。
正直、それは素晴らしいことだと自分を褒めてあげたいです。
ヘルパーさんが、こんな重病人を介護するの嫌だ、と言うほどだったし、実際に社会的な支援を受けることもできていたのです。
一人で苦しんでいたわけではありませんでした。
だから、その状況に甘んじたところで、誰も責める人は周囲にいなかったのです。
でも、私はそれを申し訳ない状況だと思っていたし、ありがたい状況だと思っていたし、だからこそ少しでも抜け出そうと思っていました。
これは、夫の尊敬すべき患者さんたちが、ほんの少しでもいいからと一生懸命這い上がっていこうとされている話を聞くにつけ、私も勇気づけられたのです。
生活保護だとしても、働けるだけ働いて、国に返すんだ、という人たちの努力を涙なしに聞くことはできませんでした。
頭こそ下がれど。涙を止められませんでした。
医師も周囲も、もう少し仕事を減らしても・・と言ってもやめないんだそうです。
こういう方々は、決してめずらしくなく、病気に甘えてはならん、病気に負けてはならんと頑張っていらっしゃる。
そういう方々の爪の垢でも煎じて飲まねばと私も立ち上がりたい気持ちでいっぱいでしたが、
私はよく詐病になりました。
嘘つきで、こんなに体が浮腫むのか?
嘘つきで、全身が痛くなるのか?
うちの妻は、絶対に病気だと、夫はどれだけ戦ってくれたでしょうか。
難病の受給者証を見せても、「結局なんなの?」という声は止まなかった。
私の主治医の先生方は、私の嘘を信じた悪者でしかなかった。
自分達が診断をつけられるだけの情報が入っていないと認められず、新しい病気と診断することを拒み、患者サイドがみんなひとまとめに嘘つきになってしまう。
これが今の医学界に起こっていることなのです。
私は病気に苦しんで、そして理解をしようとしない医師たちに苦しんだのだなあと思うにつけ、それがトラウマになって病院が嫌いなんだろうなあと思っています。
今でも新しい病院に行くのはすごく怖いです。
ひどいトラウマなんだろうと思います。
こうしたことを書くのはすごく怖かったのですが、怖がってばかりいたら何も前に進まないなと思って、書くことにしました。
私の主治医の先生方は、嘘つきではありません。
不憫な人に社会制度を使わせてあげたいと願っただけで難病を申請したのでもありません。
そして、結果は、私と私の家族に明るい未来をくれました。
私は、誰から見ても、もう病人ではないです。
薬はたくさん使ってもらっていますが、それなりに働けています。
這い上がることができたと、私の周囲の誰しもが間違いなく証明してくれます。
今、その症状を説明してもらえない方は多くいらっしゃると思います。
私の友人にも、実際にいます。
でもどうかあきらめず、怖いけど、明るい未来を信じて、信頼できるお医者さんを探してほしいと思います。
容易なことではないし、心も折れるし、経済的にも苦しいです。
10年間、成長してないんですよね 笑
どん底を味わって、元に戻るのかなあ?くらいに這い上がっただけ。
そして相変わらず苦しいし、今でも嘘つきだと言われますよ。
だから本当に苦しい。
・・それでも生きていたいので、頑張ります。みなさんも、どうか負けないでください。