セイコーの振り子付き掛時計修理のご依頼です
電池式のモノですが、長年止まったままにしていたようで、電池の液漏れが発生していました。程度はかなり酷い状態で、ムーブメントは修理不可にて交換対応ですが、付属品の中でも存在感ある振り子にも液漏れの影響がありました。
本来、金色と銀色の組み合わせで見た目もキレイなモノでしたが、電池漏液が下方向に流れ、振り子も変色を起こしてしまうこととなりました。
本来の状態に近づけようと、スプレー塗料にて着色する方法や、ペンでじっくり塗る方法等考えましたが、今回は細部も丁寧に出来そうだとの判断からペンを使用して塗ることに・・・
その前に、塗る面がゴツゴツしていると塗りにくく出来上がりもキレイでは無さそうとの思いから、全体をヤスリ掛けしてから塗ることに・・・
リューターを使用しヤスリ掛け作業と先端治具を変更し効果高いモノを探しながらの作業です。
一番効果効率良くキレイになったのはシリコンゴム砥石でした。
詳しい事は分かりませんがそれぞれの地板素材と付着している物質とそれを剥がす治具 相性はあると思います。その事を分かりやすく解説しているものは見たことありませんので、少し手掛けては、先端交換し、別治具でテストを繰り返しました。
想像をはるかに超えるツヤが取り戻せました。更に「ペンで仕上げ」とも思いましたが、塗り斑(ムラ)が出来、出来が悪くなる気がしたので、着色はせずに、最終の仕上げを施し、作業終了しました。
キレイにおさまり、無事動作しています。
今回のような「キレイにする」「ツヤを出す」目的の作業は「どこまで作業するか?」という部分が難しく「辞め時」はいつも迷います。
「手を掛け続ける」「長い作業時間」は、良い結果や成果と直結しません、むしろ悪い結果(=破損等)を生み出すことも多くあります。
「もう少し作業して、もうちょっとキレイに」と続けると「思いがけない部分が折れてしまったり」「曲がってしまったり」「変色してしまったり」と経験者は語っています(笑)
最近の作業では「程度が判ってきた」のか、失敗数は減っていますが、「以前はだいぶ痛い目にも合ってます」と経験者は語っていました(笑)
まだまだ技術と勘所、辞め時を判断出来る眼。必要な事は多くありますが、丁寧な作業の積み重ねをこれからも続けます。