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女系天皇についての考察2

2005年11月19日 23時30分57秒 | 世界@名無史楽家
前回の続きです。

 では、逆に、この問題が良くない。と言う理由、問題点はどんな所に有るのか?
と言う事を書きたいと思います。

 まず、一番の理由は、万世一系としての皇族の存続が、非常に困難に成ると言う事です。
 女系を認めてしまうと、それ以降の皇位継承者の正当性が、あやふやに成る危険性が有るのです。

 その理由について、もう少し解り易く書きますと、
 日本の国民の大多数の人と言うのは、女系の血筋を含めると、殆どの人が、天皇の血統を持って居るのです。
これはどう言う事かと言えば、男系の血筋は、皇統として尊く記録されていますが、
その娘で有る女王や姫は、大体が時の有力者(大臣や近臣)の子息へ降嫁する場合が多いでしょう。
 それに、有力な武士で有る、平氏や源氏自体が、皇族の親王の宮家が、臣籍降下して創設した家なので、
源氏系、平氏系の誰もが、天皇の血統を引いて居る事に成ります。
 日本人の大多数は、源平藤橘の四大血統の何れかに属していると言われますので、
それに女系の血筋も加われば、殆どの日本人に、天皇家の血が流れている事が理解して頂けると思います。

 この状況を踏まえて考えて欲しい事が有ります。
 もし女系の天皇、が認められた場合。男系女系問わず、長子を皇位継承者とする。
と成った場合、過去にも、今まで即位して来た数多の天皇よりも、年長な女性が居たはずです。
(実際、今上天皇にも姉上が居ましたし)
今後科学や研究が進み、遡って一番の天皇の血を引く長子相続を続けて来た人物。
と言うのも、発見される可能性も有ります。
 もしそう言う人が現れたとして、野心有る人が、その人を担ぎ出したとしたら、
(女系天皇容認に切り替わって、数代を経た)現状の天皇と、その僭称者との間に、
正当性の違いは何処に有ると思いますか?
 人に拠っては、長子血統の証拠が、本当に示されたなら、そちらの僭称者を容認する人間も多く出現する事でしょう。
 この場合、仮な現行の天皇の正当性を示す物は、唯一つ、いち与党政権の一つに過ぎ無い、
小泉政権下での皇族に関する事を何も存じない、シロートだけで作った訳の解らない協議会が、
密室で数ヶ月で作ったと言う、いい加減な皇位継承のルールで認められた天皇。と言う以外に、
正当性を主張する理由が無い。と言う事なのです。

 もっと極端な事を言えば、何かしらの天皇の血を引いた国民ならば、
初代の神武天皇(に相当する存在の大王)から見たら、現行の帝も、自分も、
神武天皇(に相当する存在の大王)の血の濃さは変わらないのです。
違いはただ、間の血筋の人に、天皇と名乗っていた人の代が多かったか少なかったか。
と言うだけなので、極論に成ってしまいますが、国民総皇位継承対象者。
と言う事に成るかも知れません。

 これが、男系の男子の制を継続して居るのなら、
今上天皇に一番近い(男系の男子な)人が、皇位継承者で有る。
と言う事が、明確に解る。と言う事が理解頂けると思います。

 今後、この国がどの様な動乱期に突入するかも解りません。
その時に、変更後の天皇に正当性を見出せない。と言う論法が存在する以上、
より正当性を認められる人物を担ぎ上げる人間や、野心有る者が伸上がり、
権力を握った後に、自らが僭称する者が現れても、なんら不思議では無いのです。
 また、天皇位その物を反対する勢力が権力を握っても、その正当性の無さから、
躊躇せずに、断絶をする事も容易く成る事と思います。

 日本人は、この権威は有るが、権力を持たず。と言う天皇家を推戴した時代を、
(一時期権力も有る時代も有りましたが)長く過ごしてきました。
 この状況と言うのは、非常に解りにくく、有る意味日本人的だとも思いますが、
これで、日本は長く政治的なバランスがとれて上手く行って来た部分も多いと思います。
実際に、多くの時の権力者。平清盛や源頼朝。足利尊氏や織田信長、豊臣秀吉や徳川家康等も
どんなに権力を握りながらも、その権威を利用してうまく立て続けて来た。と言う事も有ると思います。

 その絶妙なバランスすら失いかねない危惧も出てくる、この様な状況に陥る可能性が有る為に、
この女系天皇容認と言うのは、非常に筆者は危ういと言う考えに至った訳です。

 この問題は、単に男女平等だから良いとか、悪いとか、そう言う次元の問題では無いのです。
 どうでしょう、こちらを御覧の、天皇制は容認しているけど、女系でも良いじゃん。
と思って居た方。
 これで少しは、この女系が好ましくない制度だ。と言う事が理解頂けましたでしょうか?
 これを読んでも、それでも良いじゃん。と言う事でしたら、筆者はもう何も言いません。