遠く
御所の松風
打ち寄せる
波のよう
聞こえます
私は
母の友の家の座敷に
一人
その静けさの中
濡れ縁へと
にじりでてみました
苔むした石の上
か細い茎の先
吉祥花が
一輪
頭を垂れて
ほの白く
咲いていました
お母様の様でしょ
母の友の声
だから
わたくし
吉祥花
と
あなたの
お話
しています
始まったばかりの
春の優しい風に
細い項(ウナジ)
頷かせたのでしょうか
吉祥花
御所の松風
打ち寄せる
波のよう
聞こえます
私は
母の友の家の座敷に
一人
その静けさの中
濡れ縁へと
にじりでてみました
苔むした石の上
か細い茎の先
吉祥花が
一輪
頭を垂れて
ほの白く
咲いていました
お母様の様でしょ
母の友の声
だから
わたくし
吉祥花
と
あなたの
お話
しています
始まったばかりの
春の優しい風に
細い項(ウナジ)
頷かせたのでしょうか
吉祥花
しずかに
じっと
みていよう
ただ
じっと
みつめていよう
かたく
けばだった
キューイ・グリーンの
がくをわって
めぐみのような
はなびらを
めざめのように
ひらくから
ただ
じっと
みつめていよう
しずかに
じっと
みていよう
じっと
みていよう
ただ
じっと
みつめていよう
かたく
けばだった
キューイ・グリーンの
がくをわって
めぐみのような
はなびらを
めざめのように
ひらくから
ただ
じっと
みつめていよう
しずかに
じっと
みていよう
・
若草色
っていっても
とても白に近いの
まあるい春の印
けばだてた
綿毛
さやさや
小籠で
とどきました
ありがとう
かあさんたちが
あやとってた
あやとり
わたしたち
ちゃーんと
つないでる、でしょ
・
若草色
っていっても
とても白に近いの
まあるい春の印
あすには
潮吹いてる
鯨みたいに
葉っぱ
反らせて
茎ふかく
握ってる
ブーケ
みせてくれる、でしょ
わたしがあんで
あなたがあやとってくれた
秘密の小指の
いっぱい
咲いてる
ブーケ
かあさんたちが
あやとってた
あやとり