MGCの固定スライド(フィクスド)ガスガン ベレッタM92Fをベースにしたカスタムガンのご紹介です。
MGCはモデルガンで有名になったメーカーなんだそうですが、このM92Fが発売された頃はそれが廃れてエアガン(エアソフトガン)が台頭してきた時代でしたので、同社も高価格帯のガスガンに販売の主力を移し始めていました。
現在では当たり前になっているガス放出バルブを内蔵したマガジンもMGCがパテントを持つ特許技術で、モデルガン譲りの凝った造形に高い実射性能を併せ持った同社の固定スライドガスガンはエアガン業界を席巻していました。
ノーマルMGC M92Fのパワーはマガジン温度28℃時で0.38J(61.9m/s)、前回やったマルイLCPと同じぐらいでサイズを考えるとかなり控えめな数値ですが、当時のASGK(日本遊戯銃協同組合)には0.4J以下の銃口エネルギー(ガスガンは夏場で0.5J以下)で製品を作らなければならないという組合規則があったのでこれに従ったものだと思います。
ただこのルール、メーカーによっては平気で破るところもあって前述のマルイなどは今でこそ優良メーカーを気取っていますが、この頃は組合規則はおろか県条例まで破ってオーバーパワーの製品を平気で小学生にまで売りまくっていましたので(私も買いましたけど)エアガンを使った事件や事故も今より多かったように思います。
と、昔話はこのぐらいにしてカスタム施工に入ります。カスタムのポイントは 1,合法的範囲内でのパワーアップ、2,高温時のパワー抑制、3、HOP化による射程距離UP の3つ、もちろん内容は現行法規に則したものです。
ガスガンのパワーアップと言えばバルブチューニング、昔は硬いシャフトが入った強化バルブを150~200%のハンマースプリングで”ぶん殴る”なんて強引なのが定番でしたが、私のカスタムでは軽いトリガープルのままで同様の効果を狙います。
これが搭載されている「サイクロンバレル」です。MGCはこのライフリングで「ジャイロ効果を発生させる」なんて豪語してましたが実際にBB弾が回転することはありません。命中精度を高める工夫はマズル付近で広げられた形状にあり、銃口から発射されたBB弾が射出エアーに乱されるのを防ぐ効果があるようです。
奥に見える固定HOPは重量弾を意識したやや強めの設定になっていますので軽い0.2g弾よりも0.25~0.28g辺りの重めの弾をお勧めします(気温や着弾点の好みで加減して下さい)。
カスタム施工後の実射データです。マガジン温度28℃時のパワーは0.82J(0.2g弾換算90.5m/s)とノーマル比215%のUP、ガスタンクの温度を更に温めた気温36℃でも0.91J(0.2g弾換算95.3m/s)と上昇率を少なく抑えられているのが確認できます。
トリガープルは滑らかなままに(余裕があったので少し弱くしています)長物電動ガン並みのハイパワーを安全に発生させることができました(0.25g弾、HFC152aガスで計測)
最大到達距離70m(弾が届く最大の距離、気温等の諸条件で変化します)、0.28g弾を使うとパワーの減速率が低く抑えられ風の影響も受けにくいのでコツさえつかめば意外な程に遠くのターゲットも狙えます(重い弾でもパワーは落ちません)。
ブローバックモデルのような作動の派手さはありませんが命中精度やパワーに優れるのが固定スライドガスガンの長所、時代を経て再び往年の名機が始動し始めました。
以上、MGC ベレッタM92F へのカスタム施工の様子をお伝えしました。