金魚cafe

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おまえさん(上)(下)

2012-07-06 18:07:14 | 読んだ本
おまえさん  宮部みゆき 講談社

これを図書館で予約したのが、半年前やっと連絡があり借りられることに。

買えばよいと思いますが、文庫本で838円かなりの厚さ、それが上下巻あります。

ちょっと買うの迷いますね。^^;

宮部みゆきさんは、朗読劇で幻色江戸ごよみをやられたように、時代小説は面白いです。

それも武士の世界ではなく、江戸の下町を舞台にしたささやかな生活を営んでいる人々を書かれるのが上手いと思います。

おまえさんは、ぼんくら、日暮しと続いている3部作で、本所深川の同心井坂平四郎とその甥で度外れた美形の少年弓之助が事件の謎を解くというものです。

謎解きよりも出てくる登場人物にひかれます。

武士というか同心の平四郎だけであとは岡っ引きであったり、煮売屋のおかみさんであったり、野菜の担ぎ売りであったり、大金持ちの商人だったりでバラエティに富んでます。

綺麗だから、お金持ちだから幸せかというとそうでもなく、皆どこか弱い部分を持って暮らしています。

このお話を読むと、毎日キチンと3度のご飯がたべられて、健康で、身の丈に合った暮らしをしてる人たちが一番幸せなんだなあと思います。

このお話に部屋住みのまま年を取った源右衛門をいう老人がでてきます。

この時代自分の名前を書けない人がいました。

源右衛門は「人が己の名前を書けるようになれば、己というものがはっきりする。己と、己以外のものを分かつことができる。それこそが学問の第一歩であり、そこからすべてが始まる。」と言います。

今はいい学校に、いい暮らしをするために、まず勉強してるようなものです。

どこかでねじれてきたんですね。

いまさら江戸時代には戻れませんが、ちょっとぐらいはまだやり直せそうです。

最初にぼんくら、日暮らしと読んでからのほうが前後の関係わかりやすいと思いますが、そのまま読んでも面白い小説です。