TRITON

自作の不思議な画像とひとりごとと時々ベトナム語のblogです
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人面橋脚

2016年01月13日 23時37分25秒 | ひとりごと
なかなかにイケメンです
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SMAP解散するのか

2016年01月13日 12時29分02秒 | ひとりごと
でも、大丈夫
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『ワカン』

2016年01月13日 12時21分14秒 | ひとりごと
ワカンをご存じだろうか?
「和かんじき」のことである。

やわらかい雪の上を歩くときに靴につけて使用する道具で、昔は木などの材料で作った。
最近の登山用装備としてのワカンは金属製のものがほとんどである。

雪山に手を出し始めたころ、
何度かレンタルのスノーシューを使ったが、
自分で買うのなら軽くて携行しやすいワカンがいいなと思うようになった。
値段を調べてみると、だいたい1万円前後で平均的なスノーシューよりも安いことも魅力だった。

私は都内のとあるスポーツショップへと出かけた。
スノーシューは何種類か置かれていたが、
ワカンは1種類しかなかった。

「今はどちらかというとスノーシューが主流なんですよ。どちらの山に行かれるんですか?」

マスクをしたハゲ頭の店員が声をかけてきた。

「キタヤツですか。あの辺は山小屋でスノーシューのレンタルをしてますよ」

それは知っていた。
しかし今回、私が欲しいのはワカンなのだ。
私は展示されていたワカンを手に取ってみた。
やっぱり軽い。ひと組でもスノーシュー片足よりも軽いはずだ。

「軽いのはワカンの大きなアドバンテージですね。普通の山道も歩いて、雪道も歩いてというルートの時とかスノーシューはどうしてもかさばりますからね」

そうだろうそうだろう。

「何泊もして大荷物を担いでいく人なんかもワカンを持っていく人は多いと思いますよ」

荷物は私も多くなる。
といっても余計なものをついつい持っていってしまうからなのだが。
お化粧道具や日焼けあとのスキンケアとか、帰りの服も一揃い上着以外は普通の服を持っていくので。

「ワカンは造りがシンプルでほとんどのサイズの靴に装着できます死ね」

それにしても、シンプルすぎないか?
輪っかにした金属のパイプに、靴に固定するためのバンド、だけ。
申し訳程度に左右に爪がついているが。
下手したら私にも作れるんじゃないか?
と、ちょっと思ってしまった。
曲げた鉄パイプに1万円は、高いなあ。
ねえ、これちょっと高くないですか?

するとその店員はニヤリと笑った。
マスクの上からだが口が動いたのがわかった。
「ちょっとお待ちいただけますか?」

いったん奥に引っ込んだ店員が持って出てきたのは、別なワカンだった。
それも3種類くらい。

「こちらのワカンでしたらお安くできますよ」

これは?
手に取ってみると少し重たいが普通のワカンだった。

「実はこれ、私が作ったんですよ」

ええっ?

「バンドは既製品ですけどね。輪の部分をね、金属を曲げて接合して作ってみたんですよ。こっちはパイプ椅子のフレームを再利用したやつで、こっちは釣竿のいちばん太いところを使ったやつです」

自分で使ってみましたかね?

「私は雪山はやらないので。でも何人か購入されたお客様はいましたがいまのところクレームは無いですね」

ふーん。
で、どれを買ってったのかな。

「このパイプ椅子のやつですね。こちらは1500円でけっこうです。八ヶ岳くらいなら問題なく登れますよ」

1500円か・・・・・・

「買います!」

買っちゃった。

次の休み、私は山に登った。
午前中は天気もよくてスムーズに目的地まで登れた。平日だったので他に人もおらず、貸しきり状態の山頂からの景色を楽しんだ。安いワカンだったけど問題なかったな。

と思っていたらトラブルが起きた。
登りは問題なかったが、下りはじめてすぐ、雪にかくれた岩のすき間に乗ってしまい、体重のかかったワカンはあっけなくふたつに折れた。
接合部がきれいにはがれていた。

なんじゃこりゃ。

まいったな。まだ行程の半ば。
しかもちょっと足を傷めたみたいだ。
アイゼンは持ってきてるけどツボ足でこの雪のなかを下ってくのは厳しいな。
私は折れたワカンを靴からはずして破断した部分を見た。

ん?

何か入ってる。
筒状に丸めたメモ紙だった。
私はグローブを外してそれをひっぱり出し、開いた。
そこにはこう書かれていた。

「この商品について若干、補足説明いたしますと、クレームがなかったというのは本当です。
もっとも、このワカンを買ったお客様はみなさんまだ山からお帰りになっておりませんが。
さて、あなたがこれを読んでいるということは、遭難した、もしくは遭難の一歩手前の状態にあるということですね?
だからメーカーのワカンは少々お高いのです。
もしもまたご来店の際は、定価のワカンをお買い求めくださいね」

あの店員は、やはり悪意を持っていたのだ。
私は店員とのやり取りを思い起こしながらそう確信した。
しかし、いちばん恐ろしいものはもっと別なところにあったのだ。
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