西天竜の水田地帯を仕事で歩いていた。この地域は先日も触れた上伊那南部に比較すると草刈の頻度は低いようで、草丈の伸びた畔が多い。もちろん、多いという印象に過ぎないが、そんななか写真のようにワレモコウの株を残して草を刈ってある畔に出会った。このエリアでこういう光景を見ることはあまりなく、ちょっと感動ものだった。と思っていたら、同じエリアの別の水田の畔でも、同じようにワレモコウの株を残している畔があった。離れているから同じ人ではないだろうが、希少なものを残そうという農家が少し増えている印象を持った。
そもそもこのエリアの水田は昭和の初めから戦前を中心に開田されたところ。そのまますでに80年ほど経過しているから、いわゆる高度成長時の開発による環境の変化は起きていない地域。したがって観察すればそこそこかつての植生が残っている可能性は高い。とはいえ、草刈の管理は昔と大きく変化しているから、昔のままにというわけにはいかないだろう。ワレモコウについては、5年前に伊那で働いていた時にも、西天竜のエリアでよく目にしていた。したがってこのエリアではふつうに生えていた花ではあるが、徐々に減少しているのだろう。何といっても丈が高いから、雑草が伸びても覆われることはなく、丈の短いものに比べたら残っていきそうな種である。
今日は風が強く、久しぶりの天候で強い日差しが刺しているものの、比較的涼しい風が肌をなぞる。ワレモコウの向こうに空に突き出るように立っている碑は、それこそ西天竜の碑である。このあたりから眺めてみると、やはりその大きさが突出している。ちまたにこういう碑を見ることはめったにないこと。
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