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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

鑿跡のある石碑

2022-01-19 23:27:49 | 地域から学ぶ

芦沢子安神社にある祈願所碑

 

 伊那市美篶芦沢の子安神社境内に不思議な石碑が立っている。子安社を現在地に遷座させた由緒を現すもののようで、近くにある「子安社御由緒」という看板にもそれらしいことが書かれている。碑文は浅く読みにくいが、「天長地久国■安民所祈」(■はここに表せない文字)と主文が刻まれている。『伊那市石造文化財』(伊那市教育委員会 昭和57年)に「寛文四年山崩のため社地社殿皆崩壊、仝五年鳥居左京、六大夫を奉行として現在地に造営子安神社妙儀社八幡社を合祀す 仝七年落成四月遷座の大祭を行うと云う」と解説がされている。説明看板にも同じような内容が記されている。主文の向かって右側に「寛文八戌申天九月吉辰」、左側に当社開基大沢六大夫敬白」とある。寛文8年というと1668年にあたる。子安神社境内には妙義社の石灯篭に1667年銘があり、ほかにも同年代の石灯篭が残っている。古い石造物になるが、とりわけこの由緒が刻まれた石碑、特徴的なのは、割り石の鑿跡が向かって左側に見事に残っていることだろうか。明らかに装飾にあたり、意図的に残されている、とみた方が良いのだろう。

 子安神社境内の自然石道祖神について先ごろ触れたが、子安神社境内は独特な雰囲気があり、まさに祭祀空間といった印象である。


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