雨が降ります
しとしと・・・しとしと・・・
今夜の雨は なみだ雨
しくしく・・・しくしく・・・
返事はないとわかっていても
声にならない声で呼ぶのでしょう
愛しい人の名を
震える背中を抱くやさしい手が
いつか傘をさしかけてくれたあの人のやさしさに重なって
また涙がこぼれます
雨は夜じゅう降るようです
しとしと・・・しとしと・・・
今夜の雨は なみだ雨
しくしく・・・しくしく・・・
辛いでしょう・・・
大切な息子様を亡くされました。
年老いて死に別れることの辛さとは・・・
久しぶりにお会いしたお母さまは痩せておられました。
棺のすぐ側に座れ肩を落とされておられました。
辛くてしんどくて堪らないのに、私を案じて下さいます。
その優しさは昔とお変わりありません。
その優しき姿に私の祖母の姿が重なりました。
「あ~、なんだか懐かしいな~・・・」
祖母も優しき人でしたが、逆らってばかりのコイツがいました。
御縁に会わせていただきながら、「婆ちゃん、ゴメンね・・・」って慚愧・・・
忘れていたコイツをず~っと抱きしめてくれてたんだね。
父の車なんです・・・
お参りさせていただいたお宅でいろんな話になります。
時々、いいのかな~・・・こんな話ししていてって思うこともあります。
話の流れで車の話題に・・・
今、お嬢さんが乗られている車はお父さんが乗られていた車だったとか・・・
カッコいいステーションワゴンです。
シートを倒せばフラットになるのでしょう、奥様とこれで旅行にって話しもあったとか・・・
「旅行に出てまでお父さんの御世話するの嫌よ!どこかホテルにでも泊まれるのならいいけど・・・」
「あ~、よく聞く話しですよね!」って笑ったことです。
男は盛り上がるのだけれども女性は引いてしまうのでしょうか・・・
私の中ではそんなのしたらいいだろうな~って思うものの絶対することはないと思います。
息苦しいの苦手です・・・コイツ。
ご主人が亡くなられて寂しくガレージに収まる愛車・・・
仏間から見える姿に寂しくて堪らなくなったとか・・・
あの時、あんなこと話したな~・・・
あの時、楽しくて皆で笑いながらドライブしたな~・・・
あの時、主人の弟さんが優しく労わるようにフラットにしたシートに寝かせて病院に連れて行ってくれたな~・・・
様々な思い出が涙を誘います。
その車を今はお嬢さんが乗られるのです。
父の薫りがする車に乗り一日を願生ります。
時に、問い掛ける時もあるかもしれません・・・
父が握りしめていたハンドルを擦りながら・・・
しんどいよ~・・・
辛いよ~・・・
嬉しいよ~・・・
つぶやいて、泣いて、歯を喰いしばって・・・
車の薫りにすべて預けて・・・
「よっしゃ!」
また、ドアを開けるのでしょう!
あなたと共に・・・
こんなの大好きです・・・コイツ。
コイツの愛車も誰か乗ってくれるのでしょうか・・・