今日は広島にとって忘れられん日じゃ。
75年前のこの時間、広島は火の地獄と化していた。
大やけどを負い、皮膚は焼けただれてぶら下がり
水を求めて、少しでも熱くないところを探して人々が歩き
ワシの母親はまだ駅舎の下敷きになっとったかもしれん。
誰か分からんが下敷きになっとった母親を助け出し
川の方へおぶって逃げてくれちゃったらしい。
母親は薄れいく意識の中で咽喉に落ちる血と
誰かに助けられて避難しているのだと覚えていたみたいじゃ。
幼い頃、母親のへこんだ額に手をやりながら
そんな話を何度も聞いた。
その母親も9年前に83歳まで生きてくれ、みまかった。