この細い月を撮ろうとして、
どれだけ走っただろう。
街灯また街灯……
地球の自転の速さに驚きながら、
車で走ること半時あまり。
やっと街灯の無い所に出られて、
ギリギリ撮れたのがこの1枚。
スマホの画面から目を離すと、
月はもう、右の雲に隠れていた。
過去にはオーロラ撮ろうとして
難儀した記憶がある。
振り返れば、
胆振東部地震での
ブラックアウト in 札幌。
あの夜の、星空の素晴らしさは、
忘れられん……
ここに明かりをくれと、
頼んだ覚えはないが。
しかし確かに、
防犯上はありがたい。
馬鹿と一緒に暮らさなければ、
この明かりは要らないのさ。
しかしなんでか、
馬鹿と暮らすことになっている。
頭が悪いのバカではない。
なんでか、
生まれたら馬鹿と
一緒に生きることになっていた。
それ以外に選べなかった。
許されなかった。
以来僕はこの馬鹿のための世界で、
仮の人生を過ごしてきた。
やり過ごしてきたわ。
そんな時、
この世が終わると聞いたら……
もう忘れられないじゃない?
すべての間違いの元が終わる!
なんて都合よすぎと分かっていても。
あり得んわw
と、頭では理解していても、
ついにそこから離れることが
できなかった。
それ以外に解答はない。
あとはみな近似値。
僕は近似値で生きてきた。
夢を見た。
見続けるほかにないらしい。
この世の光の差さない所で、
自然っぽいものを空想して
慰みを得るのが僕の
日常となった。
忌まわしき星。
それが実際、動いているのを
目の当たりにして、
いい気分ではなかったねぇ……