ウラ技・バレーボール技術・戦術研究会

実際に使って来た9人制バレーボールの技術・戦術のウラ技。ママさんバレー、一般のクラブチームではかなり通用しますよ。

Aクイックを打つ(その2・・・・Aクイックのタイミングについて)

2012年06月16日 10時00分24秒 | アタック練習

はじめに
どのようなプレーでもそうなのですが、まず、自分の立っている場所を見極め、そこから辿りつけそうな目標を設定し、その道のりや道のタイプ
を考え、選んだ道を進んで目標に到達するべく、それぞれの曲がり角を曲がって行くという考え方が必要です。

ここを疎かにして、とりあえずこっちに進むという具合で、曲がり角を進んでいても、自分がどこにいるのかが分からなくなるばかりか、いつの間にか目標とは違う所に辿りついてしまったなんて言うことにもなりかねません。

進む道の途中に大きな川があっても、そこにゴムボートを持ってる選手はボートで直近の対岸に渡れるでしょうが、それがない選手は遠周りしてでも橋のあるところまで行かざるを得ないのです。
橋に行くのに自転車に乗れる人はすばやくいけるでしょうし、荷物背負っていつ人はゆっくりしか行けません。

このような立場や状況を無視してとにかく前に進み、川べりに着いてから「ありゃ?ボートがないと、ここ渡れないじゃん・・・」ということでは効率がよくありません。

で、今回はrosiiさんの御質問にお答えすると言う形でAクイック克服について考えてみたいと思います。同様の悩みを抱えている方には有効だと思いますので、rosiiさんの状況を見極め、そこからAクイック克服の道を考えてみたいと思います。

で、最終的にはrosiiさんが打ちたいというようなビシッとしたAクイックを打てるようになりたいところですが、その前にレギュラーとしてプレーしなければならないという現実の問題がありますので、チーム戦術として役立つプレーを身につけるべく、そのための練習方法を考えてみたいと思います。

そして、タイミング良くボールを捕らえられるようになったら、次の段階にレベルを上げた目標を設定し、それに向けた練習をしていくこととします。どうぞよろしくお願いします。

現在のrosiiさんの状況について私が想像するところを次の記事で御紹介するとして、私の考える第一段階の目標について本日お話しします。

Aクイックのタイミングについて
これは、皆さん「いまさら言われなくても…・」と、十分分かっておられるかとは思うのですが、しかし、実際のプレーを見ていると、理解されていないと感じることがあるので、念のためお話します。

下図を見て下さい。
緑シャツのセッターがAクイックのトスを上げています。
ボールはと上がっていき
で最高到達点に達した後、と落ちて来るのですね。


通常のアタッカーがのところでスパイクできたとします。
打点の高い選手はでスパイクでき、
打点の低い選手はでしかスパイクできません。

打点の高い選手がでスパイクする時、ブロッカーもここに到達するするまでに時間が必要となるため、問題なくクイックを打つことができます。また、打点そのものが高いからコースもかなりの幅を持って選択できるのです。

で打つ場合を考えて下さい。
で打つ場合は3つのタイミングが考えられます。
一番速いタイミングで打つのはまで上がっていくような勢いで上げられたトスをで打ってしまうクイックです。
次に速いのが、と上げられ、最高到達点のでボールが止まった瞬間に打ってしまうクイックです。
ちょっと遅めのクイックがと上がったトスがで最高到達点に達した後、落ちてきた所を打つクイックです。

打点があまり稼げないでクイックを打つ場合は十分考える必要があります。(ここからちょっと重要
この打点で打つ場合はと上がっていくようなトスを上がっていく途中でスパイクできるとかなり速いクイックが打てます。
しかし、実際問題としてそういうトスの場合、の箇所ではトスのスピードがかなりあるため、実際の試合ではヒットできず、使えません。
もちろん、まぐれでヒットした経験はありますが、本来セミで上げたトスをクイックで捕らえると言うのはなかなか難しいのです。

しかし、と上げられるトスについて、最高到達点のボールが達する直前にでヒットするというのであれば、練習次第でなんとか克服できます。
現実には、このレベルがの打点でできる最も速いAクイックということになります。

で、最低でもAクイックを打つ限りは、の打点で打つのであれば、と上げられ、最高到達点のでボールが止まった瞬間に打ってしまうくらいのクイックを習得していただきたいのです。

トスがと上がった後と落ちてきたところをでヒットするAクイックは打ちやすいのですが、実戦でブロックがつきますと、リードブロックで余裕を持って対応されますし、時間差等とからめて使ってもおとりとして機能せず、Aクイックにも時間差にも3枚のブロックがついて来る等ということになりかねません。

終わりに
実は、このようにAクイックとして機能していない形だけのAクイックをときどき見かけるのです。

同様にセミも同じです。
Aクイックをマークしたブロッカーが体勢を立て直す前にスパイクしていくところに意味があるのに、打点が低いのにもかかわらず、打ちやすい高めのセミトスを使ってセミを打ち、ブロックされるという場面を見かけます。

私は相手ブロッカーやレシーバーとの兼ね合いを見てアタッカーのほうが打点があり、ゆっくりと勝負させたほうがいい場合はクイックは必要ないと思います。
しかし、それだけではブロックを抜けないという問題が生じるため守備体制に揺さぶりを掛けるべく、クイックを用いる必要がある訳です。

クイックの最大の目的は、スパイクよりも守備隊形を崩せるかというところに求めていて、1セットの間に実際にスパイクさせるのは1~2本ということが多々あります。その他はとにかく声を出してクイックに入って来るように求めます。
で、このダミーにブロックが引っかかってくれるように、この1~2本を確実に決めさせるべく何十本何百本という反復練習をさせるのです。
チーム戦術として考える場合、Aクイックを打つ選手はこのような考えの元にプレーを磨いていく必要があると思います。

クイックの選手は、体力を一番使いながら、打数は最も低いというポジションなんですね。
ほんとに、奉仕の精神があり、陰となってチームに貢献する気持ちがないと務まらないポジションです。


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