ウラ技・バレーボール技術・戦術研究会

実際に使って来た9人制バレーボールの技術・戦術のウラ技。ママさんバレー、一般のクラブチームではかなり通用しますよ。

ブロックの駆け引き(その7)・・・20cmの身長差を克服するブロックに取り組む

2011年07月31日 08時25分17秒 | ブロック

はじめに
昨日までに、9人制バレーボールのブロックに関し、身長差20cmのアタッカーとブロッカーが対決すると、そのプレー上では60cm前後の差になることがあるというお話をしてきました。
そのことによって、ブロックの上を悠々と抜かれてしまいますし、ブロックの横をも簡単に抜かれて、どうにも太刀打ちできないという話になってしまうのです。
今日からは、そのような状況下で、実際にどのような対応をしたかというお話をしてみたいと思います。

ブロックで勝負できる方法はないかを考えた
当時宮崎県のトップを走る実業団チームと対戦するには、どうにもこうにも、絶対的な身長差がブロックを行う上で大きな障害となるわけなんです。
しかし、なんとかできないかと考えに考えました。
選手は負けん気だけは人一倍ですので、酒を飲みながら、あーでもないこうでもないとそれぞれの持つ考えをぶつけ合います。
意見が白熱してケンカになったこともありました。
しかし、そこは基本的にバレーボールが好きな人間の集まりですから、監督がうまく調整して、チームとしてのまとまりを無くすことはなかったのです。
方法としてはいくつか上げられましたが。簡単に言いますと次のようなものです。

アタックと同じ要領でジャンプしブロックする
これは、私たちのチームのオリジナルというわけではありませんが、このブロックを練習しようということになったものです。

下図を見て下さい。
170cmの選手が通常のブロック方法でスタンディングのジャンプをすれば右から2番目のオレンジシャツの選手のとおり280cmに到達します。


この同じ選手がですね、ジャンプの方法を変えて、下図のように走り込んでジャンプし片手のみ上げると、オレンジシャツの選手のとおり305cmに到達するということになります。
ここで、考えたのが、この方法で走り込んだジャンプをし、両手を上げても、300cmくらいには到達できるだろうということなのです。
つまり、このように走り込んでジャンプし、ブロックに行こうというのです。

このブロック方法は、我チームが独自に考えたというものではありません。図にしますとだいたい下図のような感じになります。

白シャツの構えから、グレーシャツピンクシャツと走り、

黄色シャツ緑シャツ黒シャツと踏み込んでジャンプ

黒シャツ青シャツ赤シャツと90度体を回転させながらブロックして

ピンクシャツオレンジシャツと着地していきます。

考えてみればこれまでにも使うことがあったブロック
もともとこのブロックの方法はあるわけでして、例えば下図のように3人がいったん床上で並んで立ち、体勢を整えてからジャンプするブロックの場合であっても、一番内側でブロックに行く青シャツの選手などはセンターのブロックもマークした後に、時にはAクイックのブロックに行った後に、相手のレフトオープンのブロックに走って参加するわけですから、そういう場合には体勢整えるまでに間に合わないことがある訳です。
そういう場合は、上記に述べたランニングジャンプでブロックに行く場合があるのです。


で、私たちのチームで考えたのは、このランニングしてのジャンプからブロックに行く方法を全てのブロックに使えないだろうかというものだったのです。

終わりに
このアイデアは奇抜だったと思いますが、それはそれでいくつかの問題がありまして、その克服をしないといけませんでした。その話をまた明日いたします。
現に、このブロック方法はだめだというバレーボール選手もいます。
ただ、それは条件の違い(これを使う必要がない)や、不慣れからくるものだと思うのです。
もちろん、本来ならプレーに確実性のある通常のブロック方法で戦いたいところ、どうにもならない高さの差が生じている時の苦肉の策としてこういう方法もあるというお話なんですね。

本日はここまでです。
ブロック戦術については、まだまだ、続きますのでよろしくお願いします。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
この方法使っています。 (ポン)
2011-07-31 19:53:10
アタック助走からの90度反転してのブロックは今使っています。これ、6人制やっていた人にはそんなに違和感ないのですが、9人制で特に初心者には少し難しいようですね。特にネットタッチが気になるみたいです。助走から手を振り上げる時にネットタッチしてしまうことがあり、それが怖くてネットから離れて、相手スパイクを吸い込んでしまうということが起こりますね。

そこでネットタッチしないようにやったことは、レフト側に飛ぶのであれば、振り上げた時に右肩を少し内側に入れて右腕のラインをクロスさせるようにするとネットタッチは防げますね。また、腕を振り上げる段階で既にブロックの形ができているので、後は90度反転して最後にアゴを引くとなかなかいい感じで完成しますよね。

カニさん歩きでのブロックに比べ遥かにスピードがあり、磯野さんの仰るようにクイックをマークしていても両サイドには十分対応できると思います。

これが全員となると凄そうですね!!次回の記事が楽しみです。(笑)

返信する
感激しました (磯野)
2011-07-31 22:24:17
ポンさん、ほんとに使われているのですか。感激です。

サイドステップで移動するよりスピードがあるので、慣れてくるとこのブロックはお勧めなのですが・・・。

サイドステップでブロックに行く選手の中にこのランニングジャンプする選手がいますと、詰まった感じになったりすることがあるものですから、ランニングジャンプでのブロックに慣れていない選手に言わせると、このブロックをする選手が中に紛れ込むとブロックしにくいという話になってくるんですね。

そのため転勤先でチームに入る時はだいたいサイドステップで移動するブロックを基本にし、一番内側でブロックする機会がある時だけ、ランニングジャンプをするようにしているのですが、ぜんぜん、アタックのボールに届かないのです…

ジャンプ力が落ち、年取って体力もなくなりますと、どうにもなりません。

ポンさんが推奨されているのを聞いて、なんか、とても嬉しいです。
ほんとに、お墨付き貰った感じですね。
返信する
確かに (ポン)
2011-08-01 10:13:53
そうなんです。移動スピードが違う分確かに詰まってしまうことがありますよね。うちの場合ですと、ランニングジャンプは前衛3名が行い、レフト、ライトはやっていません。

で、その3名が詰まり感が無くランニングジャンプでブロックできるかというと、ポイントはまずレフト、ライトが内側に寄らないこと。3名が移動できるスペースを確保しておいて、レフト、ライトは相手のストレートをしっかりと防ぐ。

それと、前衛3名はクイックをマークしているのでコート中央付近に集まっていますね。そうすると、3名の距離が近いので、助走して腕を振り上げるときに選手同士で腕がぶつかってしまうということもおきます。

ただこれは練習で解決できます。まず、3名のブロックは全員が一歩助走で行い、タイミングを合わせます。掛け声をかけて「せーの」1、2、3と。そうすると腕を振り上げるタイミングも同じですから、ぶつかることもありません。(これはママさんでも反復練習で習得できます。)

一番大きな問題は助走スピードが個々にによって違うので、セッターの助走スピードが一番早いでは駄目なんですね。残りの前衛2枚の助走スピードが速く、それにセッターが追い付けるかくらいで丁度いいかと思います。

うちがラッキーだったのは、前衛2枚がクイックを打つので、スピードは元々あり、セッターの方が少し移動スピードが遅いかなという状況でしたので、ランニングジャンプでのブロックにしても詰まるというこが殆どなかったんです。

セッターも追いかけるくらいでランニングジャンプしていますから丁度バランスが良かったってのもありますね(笑)

勿論、毎回このようにランニングジャンプでブロックできるかと言うとそうではありません。相手のクイック(おとり)にひっかかり、詰まってしまうこともありますし、平行のトスが早く、ランニングジャンプでも追い付かない場合もありますしね。

でもこのランニングジャンプはママさんでも習得可能であることは間違いありません。
返信する
そうです。そうです。 (磯野)
2011-08-01 17:35:22
ポンさん、力強いコメントありがとうございます。
練習で克服できる。
正にこれなんです。
大概のものは難しそうに見えても、練習で克服できるのですよね。
ママさんチームでも克服していると聞き、感激です。
この後、練習方法もアップしますが、ここに来てポン監督のお墨付き貰って、ほんとに勇気100倍という感じです。
私たちの場合は中衛のブロックポジションを相手チームのセミとオープン(又は平行)の中間付近にしておきセミのブロックにもオープンや平行のブロックにも、リードでランニングジャンプ(1歩助走なんですけど)して参加する方法をとっていました。
その他については、おそらくポンさんが行われているブロックと同じだと思います。
返信する
なるほど (ポン)
2011-08-01 18:24:15
リードでランニングジャンプ。私この方法がブロックでは一番の理想形だと思います。当然瞬発力(筋力)も必要となりますから、そこがネックになるチームが多く、なかなか実戦では難しいところもあるのかなと思っています。

磯野さんが行っていたポジション取りも参考にさせていただきます。

 



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応用してみました。 (なな)
2014-03-02 20:16:25
女性でソフトバレーのセッターをしています。
Aクラスで背の高い男性にアタックで上を抜かれることが多く、何かないかと探していて、大変参考になりました。
片手の方が高くなる、という記事を読んで、上を抜かれるとわかった瞬間、片手は下げたまま、アタッカー側の手だけ突き上げてみたところ、これが見事に当たる当たる!
これまでは両手で指先をかすって弾かれたり、全くかすりもしなかったのに、片手にすると肩の力が入りやすいのか、とにかく当たり負けしない強い一枚ができました!
常にそちらが良いというわけではないと思いますが、弱くて中途半端な高さの両手より、強くて高さのある片手があると、戦術的に優位だと思いました。
あと、ソフトバレーなので、思い切りジャンプして高さを出した時、よくすいこまされるんですが、片手が下に残っているので吸い込み後の処理がしやすいです。
これからも役立たせて頂きますね。
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ななさんへ (磯野)
2014-03-02 22:13:44
コメント、貴重な情報をありがとうございました。
これは、ななさん考案の裏ワザですね。

ソフトバレーでは、有効な戦術ということですね。
言われてみれば9人制でも、時間差等でブロックを振られて間に合わないとき、片手だけ出して止めに行くこともあるわけなんです。
ないよりましって感じなんですけどね。

ソフトバレーの場合ボールがやや大きいわけですし、ボールの表面のグリップもいいから、結構有力な技になる可能性がありますね。

ほんとに、素晴らしい技術の紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

今度、この技術は記事として紹介させていただきます。
「必殺 ななブロック」ですね。
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