フィエスタの谷 山行記録

【福島県勤労者山岳連盟所属】フィエスタの谷は山に登る事が好きな仲間の集まりです

剱岳・北方稜線(裏剱縦走)2019/9/12~2019/9/15(3・4日目)

2019-09-28 | 山行記録

R1年9月14日(3日目)

メンバー I堀(単独)

コースタイム 5:30池の平小屋 → 6:42小窓雪渓終了地点 → 8:21小窓の王・直下 → 

     9:06池の谷乗越 → 10:23劔岳山頂 → 12:41剣山荘 → 13:38剣沢キャンプ場

 

 この山行の主目的、北方稜線にアタックする日がやってきた。不安と緊張の中、道迷いを防止するために明るくなってから行動を開始する。後でわかったのだが、北方稜線にチャレンジした人達の中ではドンケツのスタートだった。 

 鉱山道の途中からモルゲンロート。

 道は明瞭。困難な個所も特にない。

 小窓雪渓。先行者が7名ほど見えた。

 

 鉱山道は明瞭で迷うことはなさそう。ガレていて危険な個所もあると聞いていた気もするが、特にそんなことを感じることなく通過した。朝の雪渓は硬いため、チェーンアイゼンを履いて通過。ただの荷物で終わらなくてヨカッタ。

 6:42 雪渓終了地点

 自分的に核心だったトラバースまでの登り。下のコルが小窓雪渓の稜線。

 トラバース道にあった古いシュリンゲ。

 トラバース途中からの小窓の王。

 

 雪渓を登りきると、目の前がガレ場。最短距離で真っすぐ登り稜線の踏み跡にたどり着いたが、登ってから振り返ると、右のほうに明瞭な踏み跡がつづいていた。落石に気を使いながら登ったため、右の踏み跡をたどった方がいいだろう。

 稜線からこれから行く小窓の王方面を見ると、どこを登るの?という岩壁が立ちはだかっている。先行者はすでに全員いないため、自分でルーファイするしかない。登りは小さな沢筋を登るといったカンジで、踏み跡はあまり期待できない。しかも、以外と傾斜もありテント泊の荷物と合わさり体力を消耗する。特にトラバースに移る手前の傾斜が強く、これは道に迷っているのでは?と不安になり後続者がいないか探してしまう始末。雪渓上を見渡しても登ってくる人がいないため、意を決してザックを下ろし偵察する。幸い、トラバースの踏み跡が明瞭で道に迷ってないことを確認出来て一安心。不安と緊張感はここが1番強かった気がする。同じような沢筋が何本もあるが、右へ右へ行くのが正解だったと思う。

 しかし、このトラバース、途中から登りになりハイマツのヤブに突入する。しかもだんだんと濃くなっていき、まさにヤブ漕ぎになる。踏み跡もうっすらとなり、やはり不安が付きまとう。我慢して10分ほどで開けた稜線に出ることができホッと一安心。先が見えないためここもなかなか不安になってしまった。

 開けた稜線から小窓の王の下にあるガレ場にトラバースする。

 最初のガレ場で、先行者の1パーティに追いつき追い越した。

 ガレ場を上から。落石注意だが、ザレザレ&ガレガレ&浮石だらけで気が抜けない。

 

 開けた稜線から小窓の王の下に向けて踏み跡が伸びているので、それをたどって行く。時々踏み跡が不鮮明になるが、8割がた踏み跡があるので迷うことはないだろう。ただ、1か所稜線に向かう踏み跡があるので要注意。トラバースする踏み跡を進むのが正解だ。このトラバースに有名な急斜面の雪渓があるそうなのだが、阿曽原温泉のスタッフさんの言った通り、今年は雪渓の「せ」の字もなかった。バイルは完全にただの荷物になってしまった

 トラバースを歩いていると、ガレ場からこれまで聞いたことのない、恐ろしい音が聞こえてきた。見えなかったが落石のようで、音だけで死を予感させるほどの不気味かつ大きな音だった。どうも先行者の落とし物だったそうだが、このガレ場は浮石しかないといってもいいくらいで、落石をおこさないように登るのは大変だった。両手足をつかい、体重を分散させながら慎重に登った。

 ガレ場上から池の平ガリー。

 取りつきから池の谷ガリー。

 

 やっとの思いでガレ場の上に出ると、池の谷乗越が目の前に姿を見せる。真正面から見るとどうやって登るの?というかんじだが、取りつきからみると傾斜はさほどでもない。ガレ場上から取りつきまでは、これまたガレ場でけっこう下る。この下りはどちらかというとザレの方が強いカンジ。下りの途中に1パーティいたので、落石しないように注意しながら下る。しかし、登り→下り→登りとザレ場の連続でいやらしい。池の谷ガリーは3つのガレ場の中では1番安定していると思う。しかし、3つの中で浮石の大きさがダントツででかいので、落石は絶対に注意だ。しかも標高差もあるのでよけいに疲れる。

 9:06 池の谷乗越の岩壁

 岩壁の上から今日歩いたコースを見返す。中央が小窓の王。

 岩壁の上はいよいよ岩稜帯となる。ようやく本山が見えた。

 池の谷乗越に到着すると岩壁をガイドを伴い登山者が下ってきた。正直、このガレ場は下りたくない。劔岳方面からよく来るものだと感心してしまった。この岩壁、写真でとるとやたら傾斜があるように感じるのだが、劔岳を別山尾根で登れるなら問題ないレベルのもの。サクッと登ると、ここから岩稜帯だ。

 稜線にあったピッケル。モニュメント?

 岩稜帯で1番気を使ったところ。ロープがあったが、下降場所が切り立っていておっかない。

 

 岩稜帯は基本的に稜線をたどる。しかし、ときどき切り立っていて行き詰まり、2か所ほど長次郎谷方面にトラバースしてクリアした。池の谷側のトラバースは切り立っているため、やめた方がいいと思う。ちょっと微妙な稜線をへつって越えると、なぜかそこにピッケル。柄が木でできており古そうだ。誰かの遺品か?その後も順調に岩稜帯を突破し、いよいよ劔岳が目の前に見えると、なんと稜線が100mほど切り立って落ち込んでいる。なかなか簡単には終わらせてくれない。一応ロープは垂れているのだが、こんなところのロープなんて信用できるものではないので一歩一歩慎重に下った。岩がしっかりしていたのが救い。

 10:23 劔岳・山頂

 山頂から剣沢。来年の目標は源次郎尾根と八つ峰かな。

 

 切り立った稜線を下り終えると、いよいよ最後の登りだ。先ほどの下りとは打って変わって、いたって普通の登り。なんの苦労もすることなくにぎやかな山頂に到着するのであった。3連休の初日だというのに山頂はたくさんの人でにぎわっている。この3日間、人とほとんど会わない静かな山行だったため、にぎやかなのがうれしいような、うるさいような

 秋晴れの山頂を満喫し終えたら、剣沢へと下っていく。途中、渋滞に巻き込まれながら、剣沢へ行き、テントを張るのであった。

 剣沢から劔岳。いつみても圧巻。

 

 3連休ということもあり剣沢キャンプ場は色とりどりのテントで埋め尽くされていた。本当は雷鳥沢キャンプ場まで行き温泉に入りたかったのだが、テントが張れないとシャレにならないので、ここで行動終了。

 テント泊での初めてのバリエーションを、無事に達成できて素直にうれしい。次は源次郎尾根か八つ峰にチャレンジしたいものだ。

 

R1年9月15日(4日目)

メンバー I堀(単独)

コースタイム 6:11剣沢キャンプ場 → 8:55奥大日岳 → 10:24大日小屋 → 

     12:30大日平山荘 → 14:09 登山口

 

 4日目は車が置いてある立山駅に帰るだけ。あえてマイナーな奥大日岳を経由し帰ったが、以外と登山者とすれ違ったのには驚いた。昨日で達成感が満腹だったため、長い長い下りは肉体的・精神的に堪えた。4日ともに天候に恵まれ最高の山行でした。



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